2023.07.21 【家電流通総合特集】アトムチェーン本部 井坂博史社長

販売研修サービス、4月にスタート

基本学べる場を提供

 4月に、商品知識や販売手法を学ぶことができる研修サービスをスタートさせた。昨年スタートした、FC店の技術力向上、若手スタッフの技術力習得などを目的に実施している「技術研修」と合わせて展開する。

 昨年4月、FC店の技術力を高めることを目的とした「研修センター」を本社内に開設していたが、今年4月から、このセンターを活用し、商品知識・販売研修を受講できるカリキュラムを開始した。この商品知識・販売研修は知識だけでなく、基本的な売るためのノウハウや知識を提供するもの。高付加価値商品を提案できるよう知識を学んでもらえる場となる。

 技術研修は、エアコン工事など取り付ける技術を学ぶ研修で、工具や取り付けの作業場なども用意し、主に作業ベースで進む。指導は技術力の高いスタッフが行っている。差別化策として今後も継続していく。

 一方の商品知識・販売研修は、座学が中心となる。販売する時のロールプレイングなども実施し、実践に近い形で販売する時のノウハウを提供する。月に1度開催する予定だ。FC店として加盟したばかりの担当者を中心に、基本的な販売手法を伝授する。

 最近のFC加盟店は家電店だけでなく、家電以外の業態も入っている。当社では売りっぱなしの店を作らず、地域に根差した企業に加盟してもらっている。技術研修、販売研修はこれを具現化する支援の一つ。入社したばかりの電器店の従業員に限らず、電器店以外のFC店の社員教育、基本を再度学びたい人に受講してもらいたい。

 基本は3日間の販売などの基礎研修だ。社長会を毎月開催しているが、7月度から午前中に、この販売研修の時間を短縮したミニ研修バージョンを提供している。8月、9月、10月と他の社長会でも展開予定なので、より多くの人に見てもらい、本部内で開催するカリキュラムも受けてもらいたい。

 3月には中小企業に広告のシェアサービスを提供している「アクセルジャパン」の仕組みを活用し、タレントの「ヒロミ」を採用したチラシや販促物を作成した。FC店からの印象も良く、顧客へのイメージアップが図れる。知名度や印象を良くするためにも継続して取り組む。

節電タイプ売れる

 チェーン全体の4~6月の状況は、エアコンが伸び悩んでいるものの、電気代の高騰などを意識した節電タイプ商品のニーズが高くなっている。エアコンは付加価値の高い節電多機能タイプ、冷蔵庫であれば400リットル以上の中・大型機種が売れている。

 洗濯機も高付加価値機種のドラム型機種を中心に売れており、全体的に単価が上がっている。毛布などを丸洗いできる大容量モデルが人気だ。テレビも65型、50型などの機種を中心に40型以上の機種がメインで売れている。7月に入ってからはリフォームの成約も伸びている。

 この状況下で5月にはチェーンの一斉個展を実施した。昨年は開催日を1、2週間に設定し、密を避けるように催事を行っていたが、今年は特定日を設けて実施する店が増えた。全体の来場世帯数も増えており、実績も前年以上となった。長年続いているこのアトムの一斉個展は顧客とのつながりを意識し、普段からお世話になっていることに感謝する意味でも開催している。日頃のお付き合いの深さが現れる。実績にも現れた形だ。

 足元では、エアコンが7月から立ち上がり、実績は昨年7月を上回って推移している。これまでの傾向と同様に節電多機能タイプが売れている。主に中級機種が売れており、普及機種からの底上げにつながっている。電気代の高騰が一つの切り口となっているが、FC店が訪問頻度を高めた結果でもある。訪問することで洗濯機などを付随して販売できている。

 秋商戦に向けてはテレビなどの家電製品だけでなく、リフォーム関連商品の提案に力を入れる。家電商品は買い替え需要がメインで横ばいの傾向が続くが、リフォームは緩やかながら右肩上がりで推移している。電器店は訪問できる強みを持つ。キッチン、バス、トイレ、洗面の水回りを中心にショールームを活用するなどして実績を高める。

 また、防犯という切り口で防犯カメラの提案も推進する。強盗などの凶悪犯罪がメディアに日々取り上げられる中、防犯カメラの販売が順調に推移している。同時に、豪雨など異常気象が続いており、防災という切り口でも商品を提案。顧客の安心、安全につながる商品も提供する。

 アトムチェーン880店を維持、拡大していくためにも、毎月開催している社長会にもこだわり、「FC店のために」という思いで取り組む。社長会内では毎回、セミナーなどをしっかり充実させて展開している。成功事例なども会で発表しているが、このようなノウハウを共有し「共創」できる環境を整えて、チェーン全体で拡大したい。