2023.07.24 各地域電器店 経験生かし、顧客に災害への備え促す
台風接近時には備えを促す看板も(南魚沼市のプリズム石田電機)
日頃から顧客の生活環境や地域の特性を熟知する地域電器店は、その強みを生かして常態化、激甚化する風水害や地震など、災害への備えと商品提案を積極的に進めている。
先の大雨で住宅浸水などが起きた山口県美祢市では今も復旧作業が続く。生活に必要な家電や住宅設備を失った人も多く、パナソニック系の藤田電器商会(山口県美祢市)は、家電の修理や貸し出し、役立つ情報の提供で地域住民を支えている。
同店への被害はなかったが、顧客の安否を確認すると、浸水被害を受けた人が「報道よりも多いと感じる」と同店社長は話す。トイレが流せない、エアコンが不調といった相談も多かったという。
壊れたり、水に濡れた家電の修理だけでなく、家財の運び出しやあふれたトイレの掃除など復旧作業も手伝った。電子レンジが壊れて保存食の冷凍食品を調理できないという人には、修理中に無料でレンジを貸し出した。
インターネットを使いこなせない高齢客のために、役所の相談窓口や風呂を無料開放している場所の情報提供も。今回の大雨で、被災時に必要な知識が不足している人が多いと実感し、日ごろから防災に役立つ知識や情報を提供していきたいと話す。
2004年10月の中越地震を経験した東芝ストアーのプリズム石田電機(新潟県南魚沼市)も災害対策を顧客に促している。
台風接近時には「防災の備えは万全ですか」と書いた看板を、ショーウィンドウ越しに外から見えるように設置している。看板には「サーチライト・電池あります」というコメントも。
中越地震の被災直後は「電池が品切れとなり取り合いになった」と振り返り、11年の東日本大震災では「東京に住む子どもに電池を郵送するお客さまもいた」と話す。
(25日付電波新聞、電波新聞デジタルで詳報します)