2023.07.27 【半導体/エレクトロニクス商社特集】菱洋エレクトロ 経営統合に強い自信 ICT関連が利益に貢献

中村 社長

 菱洋エレクトロは、主要事業領域である「半導体・デバイス事業」と「ICT・ソリューション事業」に独自のサービスを融合した顧客への最適な提案に注力している。

 中村守孝社長は2018年4月の就任後、半導体と電子デバイスの単品販売からICT・ソリューション事業の強化に向けた改革を進めてきた。

 現在、ICTビジネスは売上高の約4割を占める。24年1月期第1四半期(2~4月)はそのICT関連が伸長して増収増益を確保。半導体・デバイス関連も通信機器やOA機器向けの拡大で小幅な減少にとどまった。

 ICT関連ではマイナンバーカードを保険証代わりに使える「オンライン資格確認」の端末導入支援サービスが好調。端末や機器の設置やセットアップ、保守などをワンストップで提供するサービスだ。

 就任後5年間、力を入れてきたICT・ソリューション事業の成果について、中村社長は「利益への貢献で手応えが出ている。今期も全社トータルで昨年並みの営業利益率を目指したい」と意気込む。

 エヌビディアのAI(人工知能)エッジデバイスと一括管理システムを組み合わせ、工場の製造ラインの自動化をサポートするなど製造業向けAIビジネスの展開も広がりつつある。

 海外事業では、日系の客先に向けたビジネスに加え、現地のニーズを深掘りし、地場の客先に向けた「海外発-海外売り」の独自ビジネスを推し進める考えだ。

 就任後続けてきた経営改革は今年度から第2フェーズに入った。事業基盤の立て直しを主とした前フェーズに対し、新フェーズでは新たな成長機会の獲得が課題だ。

 5月に基本合意書を締結したリョーサンとの統合はその中心テーマの一つ。来年4月の経営統合に向け、既存事業での連携や両社の製品・サービスによる新たな価値創出など具体的な検討を進める。

 中村社長は「シナジーで質と量の好循環をつくる。同じ志と信頼感で結び付く両社の統合は必ずうまくいくはずだ」と成功に強い自信を見せる。