2023.08.09 【コネクター特集】車載用コネクター

25ギガbps高速伝送対応0.5ミリピッチ・フローティングコネクター

小型化、防水性の向上などを追求

 コネクターメーカー各社は、自動車市場を中長期の事業拡大のための最重点市場の一つに位置付けている。各社は、「CASE」などのメガトレンドを背景とした自動車の技術の進化に照準を合わせ、高速伝送・高周波対応や小型・高信頼性、高耐熱、大電流・高耐圧対応といった新製品開発を強化している。

 ADAS/自動運転を支えるセンシングデバイスである車載カメラは、車1台当たりの搭載数量増とともに、製品の高性能化が進展。最近の車載カメラは、従来標準の30万画素(VGA)から、100万画素クラスへの切り替えが進みつつあり、高速デジタルセンシングカメラへの進化が加速している。

 コネクター各社は、車載カメラの技術トレンドに対応し、車載カメラモジュール接続用コネクターや、カメラECU用コネクターなどの技術開発を強化する。

 高画質車載カメラで要求される3ギガbpsなどの高速伝送性能を実現しつつ、小型・高性能で防水性にも優れた製品開発に力を注ぐ。

 自動運転車向けセンシングカメラは、将来は3メガピクセル、10ギガbpsなどへの進化が予想され、これらに対応する、POF(プラスチック光ファイバー)コネクター開発も進められている。

 自動走行レベル3以上の自動運転車で必須のLiDAR(ライダー)についても、多数個使用のための小型化追求が要求され、対応コネクターの小型化も求められる。ミリ波レーダー用コネクターも、一層の小型化と防水性向上が追求される。

 今後の自動車開発では、安全性向上に向け、車1台でのエアバッグ搭載数量増も見込まれ、グローバル規格に対応したエアバッグ用コネクター開発なども進展している。

 電動車用では、車載インバーターやモーター、バッテリーまわりに使用される大電流/高耐圧対応製品の開発が活発。定格電圧850V対応品などが開発されている。

 EV急速充電規格は、日本のCHAdeMO(チャデモ規格)のほか、欧州CCS、北米CCS、中国GB/T、テスラSCなど乱立しているが、ここにきて、北米ではテスラ北米充電規格NACS対応の車種が増加する兆しが見られるなど、さまざまな動きが出ているため、コネクターメーカーでは、マーケティングを強化し、全方位的な戦略に努めている。

 エンジンルーム周辺などのアプリケーションでは、125度/150度対応などの高耐熱FPCコネクター開発も活発。走行時の厳しい振動環境に対応するため、車載フローティングコネクター開発も活発化している。

 EVメーカーは、1充電当たりの走行距離向上を追求している。このため、EV用コネクター/ハーネスでは、小型・軽量の車載ECU用コネクターなどの開発が重視される。

 ワイヤーハーネスからアルミハーネスへの代替や、FPC/FFC配線への切り替えによる車体軽量化提案も進む。