2023.08.18 回復するインバウンド需要 訪日客の支援サービスも存在感

投稿された旅程を閲覧できる画面のイメージ(提供=ナビタイムジャパン)

西武新宿駅に設置する翻訳対応透明ディスプレー=東京都新宿区(提供=西武鉄道)西武新宿駅に設置する翻訳対応透明ディスプレー=東京都新宿区(提供=西武鉄道)

 全国各地の観光名所などにインバウンド(訪日客)が続々と訪れる中、訪日客を後押しするサービスの存在感も高まっている。経路検索サービス大手のナビタイムジャパンは、訪日客向けアプリを通じて利用者が作成した旅の工程(旅程)を投稿できる機能を提供。一方、対面による多言語のコミュニケーションを支援するシステムの実証実験も動き出した。

 ナビタイムジャパンは訪日客に向けて、国内観光スポットの紹介機能や公共交通で移動する観光ルートの検索機能などを多言語で提供するナビゲーションアプリ「Japan Travel by NAVITIME」を提供している。「インバウンド需要」の回復を背景にアプリの利用者数は、新型コロナウイルス感染症が流行する前の1.8倍に増えたという。

 同アプリに、利用者が作成した旅程に写真やコメントを追加して投稿できる機能を追加し、8月初旬から提供。実際に旅行で立ち寄った観光施設や飲食店などの体験記を投稿できるようにした。他の利用者がその情報を検索したり、自分好みのプランに編集したりすることも可能だ。

 また、相手の表情を見ながら話した言葉の翻訳結果を透明ディスプレーに表示できるシステム「VoiceBiz UCDisplay」を開発したのが凸版印刷だ。

 西武鉄道は訪日客の受け入れ体制を強化する目的で、同システムの実証実験を7月から東京都新宿区の西武新宿駅で開始。外国語を話せるスタッフを配置しなくても、訪日客と駅係員が円滑な多言語コミュニケーションを実現できるため、「スマートな駅運営」が期待できるという。9月末までの実験でシステムの有用性を検証し、2023年秋ごろの本格導入を目指す。

 中国政府は8月10日、中国人の日本への団体旅行を解禁すると発表した。これを追い風にインバウンド需要への期待感が膨らむ中、訪日客の周遊や受け入れを支援する先進的な技術やサービスの出番も増えそうだ。

 (後日、電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)