2023.08.22 通信料値下げの影響脱却し反転攻勢へ 携帯電話大手3社23年4~6月決算

 携帯電話大手3社の2024年3月期第1四半期(23年4~6月)連結決算が出そろった。3社とも21年春の通信料金値下げの影響が一巡し、反転攻勢の動きが本格化してきた。ソフトバンクとNTTドコモは、デジタル化や金融事業が好調で増収増益を確保。KDDIは楽天モバイルからのローミング(相互乗り入れ)収入の減少などで減収減益となった。各社とも長く尾を引いた通信料値下げの影響も踏まえ、非通信分野での事業展開をさらに加速させる。

 ソフトバンクは、売上高は前年同期比5%増、営業利益は同2.1%増、純利益は15%増と堅調だった。 柱のコンシューマー事業は通信料金値下げによるモバイル収入減で同4%減益となったものの、影響額はマイナス58億円に改善。スマートフォン契約者数は同6%増の2958万件となった。

 NTTドコモは、コンシューマー通信は減収ながら増益となり通信料金値下げの影響から反転の兆しが鮮明になった。成長領域のスマートライフ事業は投資拡大で減益となった。
法人事業の営業利益は前年同期比1.7%増の710億円。スマートライフ事業は映像配信メディアなどへの投資拡大で営業利益は同8.2%減の523億円。

 KDDIは、楽天からのローミング収入減や前期の会計処理の影響を受け営業利益が前年同期比10・3%減少。売上高も同1.4減の減収減益となった。

 楽天からのローミング収入減は期初時点で通期600億円程度を見込んでいたが、東京・大阪など都市部での利用拡大が決まり、減収規模は400億円程度に縮小される見通し。

 一方、楽天モバイルが6月から提供を始めた高速データ通信を制限なく利用できる新プランについては、3社とも大きな影響はないとの見解を示した。
(23日付の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)