2023.08.24 訪日外国客数が回復、家電量販店ではインバウンド需要に対応 多言語対応や日本文化を感じてもらえる売り場へ

外国人観光客が回復(上新電機スーパーキッズランド本店)

 訪日外国客数がコロナ禍前の実績に近づき、インバウンド需要が戻りつつある。家電量販店の店頭ではインバウンド需要に対応した提案や商品を販売する動きが出ている。中国政府が団体旅行を行うための旅行者業務の再開を発表しており、インバウンド需要への取り組みが一層強まりそうだ。

 日本政府観光局が16日発表した23年7月の訪日外客数は232万600人となり、コロナ禍前の19年同月比77%まで回復。6月比でも約12%増と大幅な増加となっていた。海外旅行制限措置が続いていた中国を除く総数では19年同月比103.4%と、新型コロナウイルス感染症拡大前の実績を上回っていた。

 家電量販店では関連需要に対応するため、応対力強化や日本らしい文化の提供、リピートしやすい店づくり、立地を生かした訴求などで需要を獲得しようとしている。

 エディオンなんば本店(大阪市中央区)では、店舗周辺の7月の通行者が19年比で8~9割程度に回復したという。免税商品の販売状況では売上がコロナ禍以前の水準に回復した。主に売れている免税商品は、海外製の時計やTVゲーム機、理美容家電、文具、日用品など。今後は、和雑貨やお菓子などの商品を拡充。また、モバイルアクセサリー(SIMカード・モバイルバッテリー)の提案も強化する。

 同店では現在、外国籍のスタッフ約70人が在籍しており、英語、中国語、韓国語、ベトナム語など外国人観光客とスムーズなコミュニケーションを図り、商品やサービスに関する情報を適切に提供。今後も外国人観光客にとって心地よいショッピング体験を提供する。

 ホビー商品や玩具を扱う上新電機スーパーキッズランド本店(大阪市浪速区)では、5月のコロナ明けから外国人観光客が増えた。8月中旬以降は中国人の団体旅行客も見受けられるようになった。海外客に人気が高まっているのは、1階で扱っているプラモデルやフィギュアなど。特にアニメ「鬼滅の刃」のフィギュアの人気が高い。

 店頭では外国人観光客向けのPOPなどの掲示を抑えている。「日本の文化を感じてもらえる売り場とした」(今井智司店長)とし、外国人対応スタッフも既存スタッフで対応。また、安心して来店してもらえるよう独自に店舗周辺での清掃活動も実施している。再来店してもらえる環境を整える。

 ヤマダデンキLABI1ライフセレクトなんば(大阪市浪速区)では、5月以降、医薬品やドライヤーなどの理美容品、おもちゃなどが外国人観光客に再び売れ始めている。

 店舗のエントランスを挟んだ向かい側に商業施設の「なんばパークス サウス」が7月1日に開業。施設内には日本初進出となるタイの高級ホテル「センタラグランドホテル大阪」などもオープンした。ホテルには外国人観光客が滞在していることもあり、同店ではこれらの客に対応。店舗入り口付近に中国人スタッフが外国人観光客向けのチラシなどを配布。立地を生かした取り組みを推進している。