2023.08.31 【ソリューションプロバイダー特集】NECプラットフォームズ 河村厚男社長

市場を意識した経営改革

ものづくり強化へ工場DX化

 上期は、半導体逼迫(ひっぱく)の影響も回復の兆しを見せ、増収増益となった。コンビニATMや工場向けのコンピューターの需要が堅調だった。ただ、生産から納品までのリードタイムがコロナ禍前の水準に戻るにはもう少し時間がかかりそうだ。

 市場をみると、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)やクラウド化は着実に進んでいる。DXの先にあるデータを活用した価値創造に向けた取り組みを進めてきたい。高速通信規格5Gの導入は進んではいるものの足踏みが続いている。5Gの普及が何を生み出すのか、価値が浸透するのにはもう少し時間を要する。

 国内初の飲食店向けシステムとして、料理の注文から会計までの運営機能と、配膳ロボットの連携を実現する「マルチ配膳ロボット連携」も今月から市場投入した。飲食業界の人手不足をカバーする仕組みにしたい。

 経営方針として「市場に目を向けた経営改革」「競争力の価値最大化とパートナー共創」「オープンマインドで挑戦する文化」を掲げ、世界トップのものづくり企業を目指している。

 良いものを作れば売れるわけではなく、市場のニーズを見定めた事業展開が必要だ。どの領域で勝負していくのか、「選択と集中」を中期経営計画の見直しを通じて整理していく。

 強い製品も単発で出すだけではなく、パートナー企業のサービスと連携させたり、マーケティング戦略を練り上げたり、メンテナンスを充実させたり、前後のビジネスまで手掛けるモデルにしていきたい。

 部品・モジュールから組み立て製造、システム構築、サービス提供までサプライチェーン全体を通じて企業価値を高める「スマイルカーブ」の実現に向けて、三つの重点施策に取り組んでいる。

 ものづくりの強化に向け、工場のネットワーク防御やリモート監視を強化した「セキュア生産」と工場DX化を進めている。8月からは、ローカル5GやAMR(自律走行搬送ロボット)、量子アニーリング技術により人工知能(AI)解析といった先端技術を集めた掛川新棟(静岡県掛川市)が本格稼働を始めた。NECやパートナーとの共創の中で、競争力のある商品を創出していきたい。

 また、風通しの良い企業文化の形成を目指し、工場や営業拠点を巡って座談会を実施している。各拠点の強みや地域特性の活用方法などについて、現場と対話していきたい。