2023.08.31 【ソリューションプロバイダー特集】日立ソリューションズ 山本二雄社長

SBOMの成長期待、プラットフォームも発売

データドリブン経営を加速

 22年度にスタートした中期経営計画は、持続可能な社会に貢献する「サステナビリティートランスフォーメーション(SX)」の推進を重点施策に掲げながら、DXやサービスの強化、グローバルの拡大を目指している。

 初年度は企業価値を高める投資を進めた。新たに社長直轄の戦略投資枠を10億円設け、SXやDX、ブランド力強化などに投資し、特にデータドリブン経営や従業員満足度を高める取り組みは成果になってきた。セールスフォース・ドットコムを活用して開発した営業支援情報は受注や売り上げにも寄与。この仕組みは「営業デジタル改革ソリューション」として他社に提案、数件の受注にもつながっている。データドリブン経営をさらに加速させていきたい。

 23年度はデジタル技術の利活用を強化するための全社横断組織を作った。生成AIの活用が待ったなしのため、技術開発本部内に「AIセンター・オブ・エクセレンス」を置きAIの自社活用やサービス展開に取り組み始めたほか、4月にはビジネスコンサルティング推進室を新設した。自社のコンサルティング力をつけ、大型案件の受注を拡大していく。さらに日立グループの戦略関連会社グローバルロジックとの連携推進室も立ち上げた。グローバルロジックのノウハウやサービスを当社顧客に提供していく計画だ。

 今後成長が期待できる領域では、OSS(オープンソースソフト)の安全性を確保するソフトウエア部品管理(SBOM)がある。SBOM生成・管理ツールを複数展開できるのは当社だけだ。今年度後半には一括管理できるプラットフォームも発売する。

 人財面では若者層ジョブ・マッチング制度をつくり、働きやすい職場環境づくりを進めている。併せて、他社との協創も強化。現在建設テックに注力しており、大林組や奥村組と連携を始めている。

 グローバル事業はこれまで、海外から先進的なソリューションを国内に持ち込み展開し、累計で72社と契約してきた。今後はAIや建設テックなど、注力領域での新ソリューションの発掘にも取り組んでいきたい。

 中計初年度は北米でマイクロソフト関連事業が伸び、国内もデジタルを軸にした案件が拡大し前年比で12%増収となり、営業利益は日立ソリューションズ発足以来の過去最高を更新した。今年度は足元まで順調に推移している。通期の業績は、事業再編前の過去最高売上を更新できるところまできているので、確実に達成したい。