2023.08.31 【ソリューションプロバイダー特集】NECネッツエスアイ 牛島祐之社長兼CEO

新技術を現場に取り入れ

DXソリューションで変革

 デジタルトランスフォーメーション(DX)を追い風に市場が拡大する勢いは強まっており、受注は順調に推移している。新型コロナウイルスの感染状況が和らぐ中、物品が不足する影響なども落ち着きつつある。2024年3月期第2四半期(7~9月期)以降は、やらないといけないことに照準を合わせて受注残の解消に努めていきたい。

 中でもDXソリューションは、新しい技術を働く現場に取り入れてトランスフォーメーション(変革)を起こす取り組みに注力している。既に北米のスタートアップが生み出す技術を日本に持ち込み新しいシーンを具体化させているが、今後ともこうした展開に力を入れる。例えば、複数のクラウドを使い分ける「マルチクラウド」でデータ活用するシーンを働く現場で拡大していきたい。

 ネットワークソリューションでは、日本で第5世代移動通信規格5Gの社会実装が遅れているが、5Gに対するキャリア事業者の投資意欲は高く、いずれはピークが来るだろう。それまで耐えしのぎ、人材を含む体制づくりを強化していきたい。社会基盤は花が咲いている領域で、海底ケーブルの敷設や宇宙関連事業などの需要を獲得している。

 社会・環境ソリューションは、DXとネットワークの両ソリューションと重なる領域で、サウジアラビアからプラント通信システムを受注するなど海外案件も獲得している。当面はこうした事業がしっかりと回る体制づくりを進めるとともに、大規模なプロジェクトをこなせるマネジメント力を高めたい。

 23年3月期を初年度とする3カ年の中期経営計画「Shift up 2024」で打ち出した成長戦略は進展してきているが、数字がついてきていないので、自社の強みと付加価値を訴求して収益を生む形に持っていきたい。

 われわれに求められるのは、変革を起こすために技術をどう使うかで、そこに特化したコンサルティング人材の育成に取り組んできた。今後は、そうした取り組みを仕上げる段階に入る。

 DXの市場を巡る競争が激化しているが、電気通信工事会社からスタートしている会社なのでニュートラルな姿勢でデジタル技術の利活用を支援できる。さらにサービスを幅広く持っていることも強みで、多様な技術や機器をつなぐことができる。生成AI(人工知能)は未知数だが、インターネットを超えるインパクトを持つ。社内チームが積極的に業務を変革する可能性を探索している。