2023.08.31 【ソリューションプロバイダー特集】大塚商会 大塚裕司社長

複合提案の取り組み定着
業績好調 AI営業支援も後押し

 8月の中間決算では、売上高が前年同期比17%増の5210億円、各利益項目も同2桁以上の大幅増益となり、売上利益とも過去最高を更新した。競争力強化を意識した企業のIT投資は底堅く、大きな特需がない中で過去最高を出せたのは意義がある。

 顧客の声に耳を傾け課題を解決していく複合ソリューション提案の取り組みが定着してきた。コピー機やパソコンの入れ替え時に、クラウドサービスも同時に薦めるなど、幅広い商材やサービスを生かして企業の課題を解決する「オフィスまるごと」の成果が表れている。

 これまで別々の商材だった基幹系統合業務パッケージ「スマイルV2」と、情報系パッケージサービス「イーバリューV2」を統合して、データベースを共通にした「DX統合パッケージ」は、電帳法改正やインボイス制度に向けたニーズとマッチした。今後は人工知能(AI)を組み込んだサービスも立ち上げていきたい。

 電子化やペーパーレス化を実現して終わりではなく、業務プロセスを見直して生産性向上につなげるのが最終的な目的。そこまで提案していくのが当社の役割だ。

 AI開発を手掛けるdotDataとの戦略的提携により、月額5万~10万円で動かせるAIを提供できるようになり、既に100社近くに導入が進んだ。今後は導入企業に運用面での要望などを聞きデータ活用の課題などを抽出していく。

 社内的には、昨年1月から実施した社内改革で労働分配率を見直した。成果を上げた社員へのインセンティブアップのほか、役職手当・マネージャー手当増額から、全社員一律の1万円のベースアップもやる気向上につながったかもしれない。

 2019年8月から実施しているAIを活用した営業支援は、開拓に苦労する営業社員へのリコメンドが中心だったが、営業社員全体に活用を広げた。多くの社員がAIを使いこなせるようデータ活用を進めていく。

 7月中旬に示した中・長期経営方針はあえて期間を区切った目標値は示さず「100年企業を目指す」と大くくりにした。課題は、22年度に取引があった約29万2000社のうち、約20万社(68%)は1アイテムだけの利用だったこと。残りは他社から購入していることになり、逆に言えばここに伸びしろがある。これだけのビジネスチャンスがあれば100年企業は狙える。

 今年後半戦は、倒産件数増といった懸念材料はあるが、足元の状況は悪くない。