2023.08.31 【ソリューションプロバイダー特集】日立システムズ 柴原節男社長

業種別のDX提案に注力
生成AIの可能性にも注目

 国内のITサービス市場は堅調に推移している。デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けたシステム刷新や新規のシステム構築がけん引しており、特に製造業の成長率が高い。電子帳簿保存法やインボイス制度への対応で中堅・中小企業によるIT投資もさらに上向いている。「クラウドファースト」の浸透で、クラウド向けマネージドサービスの拡大も予想されている。

 日立製作所が主力とするデジタル事業「Lumada(ルマーダ)」と連携しながら、業種別のDXの提案に注力している。2022年4月に、全ての事業グループに顧客にフィットするサービスを迅速に届ける市場進出戦略「Go To Market」の推進組織を新設した。標準化されたサービスを多くの顧客に使ってもらいたいと考えており、この戦略を引き続き推進していきたい。

 グリーントランスフォーメーション(GX)の推進に向けては、30年度までに事業所でカーボンニュートラルを達成するという日立グループの目標に沿って社内の取り組みを進めている。例えば、24年度に社用車のEV(電気自動車)化率10%を目指している。さらに再生可能エネルギーの活用など環境に配慮したオフィスに集約する計画も推進。データセンターの省エネルギー化にも取り組む。

 対外的には、EV向け充電器の設計や施工から保守・運用までをワンストップで提供するソリューションを用意。加えて、二酸化炭素(CO₂)排出量の可視化にとどまらず、ボトルネックの特定や改善策の立案まで支援している。CO₂排出量の測定技術を認定する「炭素会計アドバイザー資格」の取得も奨励しているところだ。

 利用者の指示に基づいて文章や画像を自動生成する生成AI(人工知能)の可能性にも注目している。日立が5月に立ち上げた専門組織「Generative AIセンター」と連携していくことになるが、自社の知識を活用できるかについて検討を進めている。例えば、コンタクトセンターでは、顧客の問い合わせにチャットボットで定型的に対応するだけでなく、付加価値の向上や業務効率化も目指し、1次受け付けの部分などに生成AIを生かす展開について検証を実施中だ。今年度中に実務で使いたい。

 オーガニック(自律)成長に向けては、国内外のM&A(合併・買収)、顧客のIT業務を支援する事業、パートナーとの協業という3本柱に力点を置いていきたい。