2023.08.31 「発電するガラス」実証実験 パナソニックのペロブスカイト太陽電池 経済安保の柱の一つにも
実証実験の進むモデルハウス
パナソニックグループは、建材一体型のペロブスカイト太陽電池で実証実験を進めることになり、神奈川県藤沢市で8月31日、報道関係者向けの説明会を開いた。1年以上の実証を予定し、事業化を加速させる。
Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(Fujisawa SST)で取り組むもの。モデルハウスでは三井不動産レジデンシャルと連携し、ハウス内にプロトタイプを設置する。バルコニーサイズのもので、グラデーションの透過型。目隠し性と透光性を両立させたデザインで、長期設置による発電性能や耐久性などを検証する。
目指しているガラス建材一体型の太陽電池は、ガラス基板上に発電層を直接形成することで実現する「発電するガラス」。独自のインクジェット塗布製法とレーザー加工技術を組み合わせ、サイズや透過度、デザインなどの自由度を高め、カスタマイズも対応可能。
パナソニックは来春にも、より大型のものを試作用ラインで生産し、このモデルハウスでの更新や、ほかの現場での実証実験を想定している。また壁面に広く使えることから、ビルのフロアに実装して実証するといったことも検討しており、すでに引き合いも多数あるという。
ペロブスカイト太陽電池を巡っては、政府が経済安全保障の一環で取り組む支援対象の一つにも先ごろ、盛り込まれている。実際、同社の取り組む太陽電池の技術では、主な原料として国産のヨウ素を使うなど、地政学リスクのあるレアアース・レアメタルに頼らないで済むことも特長の一つだ。
同社の量産に向けた体制作りを含め、公的支援での後押しの可能性がありそうだ。
(1日などの電波新聞/電波新聞デジタルで詳報予定です)