2023.09.06 【「JASIS 2023」特集】きょうから幕張メッセで3日間 ゲノム解読20年で企画
昨年の来場者数は約1万2000人。今回は2万人を目指す
最先端科学・分析システム&ソリューション展「JASIS 2023」が6~8日、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催される。
2012年に始まったアジア最大級の分析機器・科学機器関連の展示会で、主催は日本分析機器工業会(JAIMA)と日本科学機器協会(JSIA)。
12年目となる今回は、新型コロナウイルスが感染症法上の「5類」に移行後初の開催。JASIS 2023委員会では、ブースで実機に触れて技術者と直接会話する「リアル」な機会の創出にこだわった。
生野朗委員長は「『Come Touch JASIS』を合言葉に『見て・触って・実感・体感』していただき、技術者とフェースツーフェースで話し合っていただければ」と期待する。
出展社数は前回を上回る344社。事務局では「コロナ禍前規模の水準に戻りつつある」とし、来場者数は1万2000人だった昨年以上の2万人が目標だ。
訪れた人が集い、交流する場となる主催者企画「JASISスクエア」はさらに充実。研究機関・学協会コーナー、海外からの関係団体が参加するエリアのほか、前回も好評だったLabDXコーナーでは実機の展示と、国際業界標準に関連したデモやプレゼンを実施し、事例を紹介する。
JASISスクエア最大の話題は、03年の国際ヒトゲノム計画解読完了から20周年を記念した企画。日本発の技術で製品化されて解読に貢献し、国立科学博物館が保存する「DNAシークエンサー」の実機を特別展示する。事務局では「プロジェクトでリーダーシップを取っていた技術者に若手に向けたメッセージを語っていただくことで、技術の伝承などにつながれば」と企画の狙いを語る。
社会課題の解決とヒントにつながるトピックを集めた「JASISトピックスセミナー」は「ライフサイエンス」「先端材料」「環境」「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「食品」「教育」の六つの分野に関する19テーマの講演が開かれる。有害性が問題となっている「PFAS」関連の講演への関心は高く、DX関連も人気という。ヒトゲノムも特別企画を実施する。
そのほか、国際競争力を高めることを視野に入れた計測分析データの共通フォーマット開発に関するシンポジウムや、英国王立化学会の分析化学カンファレンスも海外から多数の参加者が予定されるなど注目を集める。
好評の新技術説明会は69社による261セッションを用意。分析・計測機器の最新情報などを紹介する。
コロナ禍で実展示との「ハイブリッド」開催へと進化した「JASIS WebExpo」は7月5日から先行展開。11月30日までバーチャルによる情報発信を続ける。
東レエンジニアリングDソリューションズの主力製品
超音波センサー、ボイドや微小亀裂検知 パワー半導体市場で需要増
東レエンジニアリングDソリューションズ(TRENG D)は主要事業の一つ、計測機器分野で半導体製造装置向けセンシングデバイスが市場の成長に合わせ大きく伸長した。
半導体の微細化、構造の複雑化で難易度の高い成膜への需要が高まるとともに酸化を防ぐため、酸素の厳しい管理が必要とされている。
ジルコニア式酸素濃度計は、半導体製造でウエハーの熱処理をする際に装置内の酸素濃度管理などで広く活用されている。
最大8点まで同時測定できるシステムを構成可能。ロードチャンバーだけでなく、ウエハーを運ぶ際に用いるローダーやフープの排気部にセンサーを設置して各所の酸素濃度を管理する多点計測に対するニーズの高まりに応える。N2リフロー装置でもこうした多点での計測が求められるようになっている。
超音波センサーもパワー半導体市場の拡大に伴い、ボイドや微小な亀裂を検知する非破壊検査装置用途で需要が増加している。
同社の超音波センサー(トランスデューサー)は高分子圧電材料の中で最も感度の高いP(VDF-TrFE)膜を使う唯一の製品。製膜を自社で行うため、周波数や焦点距離など顧客の細かな要望に沿って対応できるのがセラミック製センサーに対する強みだ。
発振した超音波はガラスレンズを介さず、先端から直接放出するため、ノイズの影響を受けず高い精度を確保できる。超音波センサーの駆動装置で、高周波と小型化を両立させたパルサー・レシーバーとの組み合わせで市場へのさらなる浸透を図る。
TOC(全有機体炭素量)自動分析装置も、半導体製造現場で大量に使用する超純水を回収して再利用する際にTOCの測定用に用いられている。
「TOC-200」は装置内の燃焼炉でごく少量の試料水を燃やして中の有機分が二酸化炭素に変換される量をTOC値に換算するタイプ。比較的低温で密封完全燃焼が生じ、消費電力を抑えられるのが特長だ。2~8流路を切り替えられる機能を備える。
水質汚濁防止に関する法規制改定に伴う更新需要期を迎え、部品の交換などメンテナンスのしやすさをさらに追求し、作業時間の短縮が図れる製品の開発にも力を入れる。