2020.02.27 カナディアン・ソーラー・ジャパン、日産と販促面で連携深化 山本豊社長に聞く

山本豊社長

「究極の形」として日産ディーラーでの販売

 太陽光パネル大手のカナディアン・ソーラー・ジャパン(東京都新宿区)の山本豊社長は、昨年から始めている日産自動車(横浜市西区)との協業について連携をさらに深化させる方針を明らかにした。電波新聞社の取材に応じた。

 販売促進策について、「究極の形が、日産のディーラーでの太陽光の販売。すぐにはいかないが、それに近い形の取り組みは具体化したい」と語った。

 同社は昨年5月、太陽光発電商品と、世界初の量産型電気自動車(EV)として10年から販売されている日産「リーフ」との間で、新たに協業することに合意したと発表している。

 両社の販売ネットワークで、太陽光発電とリチウム蓄電池、EVを同時に制御できる蓄電パッケージにリーフを組み込んだ「ソリーヴライド」を販売促進していくのが主な内容。パネルメーカーと自動車メーカーが、同様に協業している例はほとんどないという。

 山本社長は、太陽光発電の今後について「固定価格買い取り(FIT)制度に頼った市場はなくなっていく」との見通しを示し、「そんな中、どうやって自家消費に訴えかけていくかだ」として、蓄電池との組み合わせなどを主眼にしたPRを強化しているという。

 さらに、「FIT制度後のソリューションの中で、電気自動車の占める位置は大きい」と指摘。「リーフという具体像を示すことで(顧客は)イメージがつきやすくなる」と狙いを語った。

 また、「車と太陽光の敷居は、徐々に低くなっていく」との認識を示し、「親和性の高い二つの製品群を融合することで、いかに新しいソリューションを提供できるか考えていきたい」と述べた。

 営業面でも「販売チャネルは、今はまだ別々だが、将来的にどういう形で融合できるかいろいろと考えたい。当社のチャネルで車のプロモーションをかけることも想定できる」とした。

 同社は既に昨年、太陽光発電を購入した顧客が、リーフも購入したケースにギフト商品券でキャッシュバックするキャンペーンなどを実施してきた。

 今年はさらに、リーフを購入しようとしている顧客に、太陽光を販売していく新しい取り組みにも乗り出す予定だという。

 一方、今後、産業用の自家消費でも蓄電池としてのEVが重要視されるとし、特に中古車の活用などを検討してきたことを明らかにした。

 「工場で社用車としてリーフを持ち、電源のバックアップにも用いる使い方が、まだ出てくる」とし、「産業としては、工場が稼働しない土日のソリューションになる。蓄電池でためて、平日夜に使うことなどが想定される」と語った。

 同社は、東京ビッグサイトで2月下旬開催の総合展示会で、初めてリーフの実車をブースに持ち込んだ展示を計画。だが、新型コロナウイルスの感染拡大などを受けて、出展を見合わせた経緯がある。(3月3日付電波新聞環境・エネルギー面に掲載予定)