2023.09.25 【九州・山口産業特集】DELIA 次世代EMSプラットフォーム実証

EV充電中の様子

中村 代表理事中村 代表理事

 DELIA(ブロックチェーンによる分散エネルギー情報基盤アライアンス、福岡市早良区)は、EV(電気自動車)充電に太陽光発電を活用するローカルVPP(仮想発電所)を訴求している。

 福岡でスタートした実証は、一戸建て住宅でPV(太陽光発電)、蓄電池、EVをシームレスにつなげる最小単位のマイクログリッドを実現。

 次世代EMS(エネルギーマネジメントシステム)プラットフォーム「HyperDeMS」は、既に大阪の自治体でシステムが稼働し、離島での導入検討を始めた。

 現在は、モニタリングしている2台のEVと鉛蓄電池からのデータをクラウドに上げ、AI(人工知能)も取り込んで別々の情報データを統合化したプラットフォームづくりを目指している。

 エネルギーモニターでは今この瞬間の発電状況も分かり、それぞれの状況を1分ごとなど時系列にダウンロードすることも可能だ。これらをどうビジュアル化したら理解しやすいのかなど、ダッシュボードの作成にも取り組んでいる。

 電気学会では、中村良道代表理事が委員長も務める「ローカルVPP」と「データサイエンス」を融合した新しい委員会の設立を準備中である。

 中村代表理事は「ローカルVPPは、防災性や、電力の不安定性を安定化するキモの技術」と語り、次のステップとして、機械学習などの手法を使いながら、データを適切に分析することで、埋もれている価値を発見することを目指す。

 不足しているデータがあれば取得して精度を高めるといった、分散エネルギーシステムだからこそ周囲の環境を分析する必要があり、「正しく活用しようとしたら周辺の環境に対応しなければならない。自然エネルギーは変動電源で活用が難しいと言う人もいるが、普及目覚ましいEVを蓄電池と見なし、太陽光発電は平準化できる。適切にコントロールし、AIでデータを分析・評価することで、より良い電源として使うことを考えなければならない」と、中村代表理事は、正しい分散電源とはどういうものなのかをアピールしていくことの必要性を説く。

 今後は、工場でのマイクログリッドの構成の中に、このシステムを組み込んでの実証も検討する。