2023.09.25 【九州・山口産業特集】九州計測器 計測器活用のカーボンニュートラルに注目
展示会でKOACH実演
計測器商社の九州計測器(福岡市博多区)は、産学官と連携し、計測器を活用したさまざまなテーマの開発に取り組んでいる。
現在は計測器との関わりも深いカーボンニュートラルの分野に注目。よりクリーンなエネルギーが求められる中、水素の活用もこれから本格的になってくるのではとみる。
水素火炎を可視化するウエアラブル計測製品は、「水素を使う場面が増えてくれば、保守メンテナンスで必要なツールになってくる」(岩倉弘隆社長)と、開発を継続している。
空間可視化のシステムは、センサーと見せ方を変えることで、さまざまな分野で活用が進んでいる。
空間環境の可視化で適正な環境をつくることで省エネにもつながる。温湿度だけでなく、PM2.5など空気中の有害粒子の可視化など快適性、労働環境の改善にも貢献できる。
今年7月には、金属加工の工場などで働く人の労働環境衛生の向上に向けて、中部電力などと共同開発したオイルミスト濃度・温湿度計測システム「MieruTIME OILMIST」を発売し、全国から問い合わせがあった。今後は倉庫や物流管理など、保管環境に対する課題解決にも期待する。
九州で動きが活発になっている半導体関連では、今期からチームをつくって市場を調査、計測器屋としてどう貢献できるかを検討している。「採用されたものがそのお客さまにどう役立っているか深掘りし、それを集約していくと課題が見えてくるのでは」と考えている。
その中で裾野の広いテーマとして、パッケージングでのコンタミ(混入)に着目。加工部品の納品時にコンタミがないというエビデンスを提供するために、クリーンルームなどでコンタミがない環境をつくることが必要だが、同社が取り扱う興研のオープンクリーンシステム「KOACH」は建屋を必要としない小型のクリーン環境を構築でき、計測と絡めて提案していく。
質量分析では、8月にカメカ社の九州初のテクニカルセミナーをリアルで開催。最新の半導体評価分析手法について、ユーザーの声も交えて事例紹介した。今後は分析装置や顕微鏡などの取り扱いも増やし、ラインアップしていこうとしている。