2023.09.27 【関西エレクトロニクス産業特集】交通網の充実 万博に向けサービス進化

JCOMなどが展開するオンデマンドバス

MaaSへの取り組みが活発に

 今年度の関西地区のMaaSへの取り組みは、実用化されているもののほか、社会実装を見据えた実証も進む。2025年の大阪・関西万博や地域社会のラストワンマイルとしての動きを見据えて、各所で活発に動いている。

 電動車いすを手掛けるWHILL(東京都品川区、杉江理社長)と平城宮跡管理センター(奈良市)は16日から、国営平城宮跡歴史公園で、WHILL社が開発する近距離モビリティー「WHILL」の無料貸し出しサービスを開始した。園内には第一次大極殿、朱雀門、朱雀門ひろば、平城宮いざない館など名所がある、東西1.3キロメートル、南北1キロメートルの敷地。貸し出し機は折り畳み可能な「WHILL Model F」5台。幅広い層の来場促進や滞在時間の延伸を図る。

定額乗り放題も

 エリア定額乗り放題「mobi」を提供するCommunity Mobilityは、梅田タクシーと東大阪市の東部エリアで8月からmobiの提供を開始した。生駒山麓部の傾斜地という立地により自転車や徒歩での移動に課題を持つ同エリアで、AI(人工知能)オンデマンド交通の実証運行を行い高齢化に伴う移動課題も解決する。1乗車300円で、30日間6000円(東大阪市割引適用で5000円)で利用可能。乗降場所は、サービス開始時点で145カ所。

 堺市、南海電気鉄道、南海バス、JCOMは10月から、泉北ニュータウン地域でオンデマンドバスの実証事業を実施する。住民の移動課題解決と利便性向上に向けた新たな移動手段として導入。ワンボックス車両(客席8人)による小回りのきく輸送サービスを提供。対象エリアは11地区50停留所。通常は1乗車300円均一としたほか、各種割引施策を展開する。

 関西に主要路線を持つ鉄道事業社7社はスマートフォンアプリ「KANSAI MaaS」を5日にリリースした。乗り換え経路検索、電子チケットサービス、観光関連情報、駅構内図や列車走行位置情報への連携など鉄道7社ならではの情報サービスをワンストップで提供。

 今後機能・サービスを逐次拡充し、大阪・関西万博に向けてサービスを進化させる方針だ。