2023.09.27 【関西エレクトロニクス産業特集】関西の大学で起業支援が活発化 同志社大学 「Produce Trial」プログラム
中さん
3カ月間、事業化を疑似体験
中さん ドローン飛行日誌システム提供
同志社大学は4月から、全学共通教養教育科目に「アントレプレナーシップ論」を新設した。米シリコンバレーと東京都に拠点を置くベンチャーキャピタル・DNX Venturesによる寄付講座で、海外と比べて起業意思が極端に低い日本の学生の意欲を喚起するのが狙いだ。
同講座では複数の起業家が、起業の意義や方法論を語る。同大によると、前期は約400人が受講。さらに取り組みを深めたい学生に対し、同志社大学独自の「Produce Trial」プログラムへの参加を推奨している。
同プログラムは、新規事業の創出手法を学び、自らの事業シーズに適用して事業化を疑似体験するもの。今年度は23日から12月17日までの約3カ月にわたり実施され、28人が参加する。計8回のカリキュラムは終日にわたるものも多く、フィールドワークを含めた実践度が高い内容だ。
自主的に計画
法学部法律学科4年生の中駿介さんは、昨年度の同プログラムに参加した一人。「期間中は、自主的に図書館に集まって計画を練り合うなど、熱心に取り組んだ。約3カ月という期間にわたり、取り組めたのが良かった」と振り返る。
中さんは既に、個人事業主としてドローンによる水田への農薬散布を行っている。米の産地・富山県の出身であることから、米農家の人手不足という課題に取り組み、地元に貢献したいと考えたのがきっかけだ。
今月末にも法人登記をする予定で、今後は農薬散布事業だけでなく、ドローンを飛ばす際に必要となる飛行日誌を自動記録するシステムも提供していく方針だ。
中さんオリジナルの同システムは、既存のドローンに独自のデバイスを後付けして使用する。飛行前にデバイスへスマートフォンをかざすと、スマホの持ち主からドローンの操作者を、GPSから場所や時間を特定し、自動記録する。
中さんは現在、農薬散布事業のサポート1人、システム開発4人、財務関連1人と、チームで事業に取り組んでいる。
「チーム内でそれぞれの関心が異なる中、皆のモチベーションを保ちつつ一緒に事業を進めていくことに難しさを感じる」と話す中さんだが、高校生の頃に生徒会長を務めた経験から、リーダーとして皆をうまくまとめているもようだ。
地域課題を解決へ
今後について、中さんは「地域課題をドローンで解決したい。今の事業がゴールではなく、これまで培った信頼を基に、さらに取り組みを深めていく」と展望を語った。