2023.10.19 アイロボットジャパン、空気清浄機を日本先行発売 新規事業参入の狙いと今後の展望 挽野元社長に聞く

挽野 社長

ルンバと連携する空気清浄機Klaara(クラーラ)ルンバと連携する空気清浄機Klaara(クラーラ)

機能にこだわり、独自のフィルターを搭載機能にこだわり、独自のフィルターを搭載

活性炭含有量の他社比較活性炭含有量の他社比較

空間で捉え空気もキレイに

アプリで連携、ルンバとセットで使用を

 アイロボットジャパンは、アイロボット初で、ロボット掃除機「ルンバ」とも連携する空気清浄機「Klaara(クラーラ) p7 Pro」を20日に全世界に先駆けて日本市場で先行販売する。新規事業参入の狙いや今後の展望について、挽野元社長に話を聞いた。

 -2023年までにロボット掃除機の全国世帯普及率10%を目指して活動を続けています。足元の状況はいかがですか。

品ぞろえを充実

 挽野社長 今年中に全国世帯普及率10%は達成する見込み。23年上期は、インフレや物価高騰などが影響して生活家電全般、市場全体が厳しい状況だった。下期は持ち直してきた印象だ。

 市場は、高機能高価格とコスパ重視の2極化が進んでいる。その中で、ルンバの評判はいい。しっかりと価値を届ければ、消費者に振り向いてもらえる。ラインアップを充実させることで多様化するニーズにも応えている。

 -ルンバの印象が強く売り上げを伸ばしているアイロボットが、なぜ今空気清浄機市場に参入するのですか。

 挽野社長 常に新規事業としてできることを模索している。コリン・アングルCEOの構想に、家の中を便利に、清潔に、安全にするというものがある。

 ルンバで部屋の情報を可視化して、床をキレイにする。そこに、立体的に空間を捉えるクラーラを追加することで、家を面ではなく、空間で捉える。その上で、空気もキレイにする必要があると考えた。

 クラーラは、世界に先駆けて日本で発売する。空気清浄機としては完全に後発だが、一切妥協していない製品ができた。独自の構造を大切にしたとがった製品を、ぜひルンバとセットで使用してほしい。

 -空気清浄機市場参入発表後、反響はありましたか。

 挽野社長 思った以上に反響があった。なぜ参入したのか、製品特長や他社との差別化について、多くの質問が寄せられた。密閉構造など妥協なしで作り上げた本物の空気清浄機であることと、ルンバとの連携など独自のオペレーションシステムiRobot OSを搭載し、ルンバと共通のiRobot Homeアプリで連携することなどを説明したことで、アイロボットらしさが伝わった。

 一般消費者に向けて、ルンバとの連動、家具のように使用できるデザイン、空気清浄に特化した単機能であることをしっかりと訴求していきたい。

 -iRobot OSは今後どのように発展していきますか。

 挽野社長 アプリで操作するものが増えることで、使用するアプリも増えてしまい、ユーザーフレンドリーではなくなってしまう。他社との連携も視野に、一つのアプリやリモコンでシンプルに使用できるものを開発したい。

 そのためには、パートナーシップが必要不可欠。ユーザーにとって使いやすいものを追求していきたい。

 -今後の展望を教えてください。

普及率10%達成へ

 挽野社長 ロボット掃除機の全国世帯普及率10%を確実に達成する。10%に到達すれば、上がり方は加速し、さらに12~13%を超えると、一気に普及率は向上すると考えている。物販だけでなくサブスクも組み合わせることで、間口を広げていく。

 今後もイノベーションとテクノロジーを組み合わせて新しいものを作り続けるが、お客さまを第一にする考えは変わらない。新製品だけでなく、ルンバとクラーラを掛け合わせた製品の使用方法の提案も強化して、家全体を清潔で安全な空間にしていく。