2023.10.20 コミュニケーションの壁を取り払う先端技術に熱視線 CEATEC 2023

CEATEC の東京都生活文化スポーツ局のブースで披露したオノマトペ表示システム「ミルオト」=千葉市美浜区の幕張メッセ

ソニーグループのブースに展示された会話支援スマートグラスなど=千葉市美浜区の幕張メッセソニーグループのブースに展示された会話支援スマートグラスなど=千葉市美浜区の幕張メッセ

 20日に最終日を迎えたデジタルイノベーションの総合展示会「CEATEC 2023」(主催=電子情報技術産業協)では、開催期間中に聴覚障がい者を支援する技術も注目を集めた。コミュニケーションの壁を取り払う先進的な試みとして、今後の社会実装への期待感が高まりそうだ。

 千葉市美浜区の幕張メッセで17日に開幕したCEATEC。社会全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)に役立つ共創事例が集結する展示エリア「パートナーズパーク」に向かうと、東京都生活文化スポーツ局のブースが存在感を放っていた。

 中でも目を引いた展示が、試合中のその場の雰囲気と応援をリアルタイムで可視化できるオノマトペ(擬音語)表示システム「ミルオト」だ。障がいのある社会をデザインで変えるスタートアップの方角(東京都渋谷区)がミルオトを企画し、自動車部品メーカーのアイシンと早稲田大学が技術を提供した。

 会場をミルオトの実証実験の舞台として設定。ブース内の卓球台に設置したマイクから取得した音声情報と、カメラで撮影した映像情報を組み合わせて分析。試合中に発生するボールや拍手、歓声などに応じてオノマトペをスクリーンの画面に表示した。

 都は6月、2025年に開く聴覚障がい者の国際総合スポーツ大会デフリンピックを観戦するための最新の技術やアイデアを競う「ピッチコンテスト」を開催。ミルオトを提案した方角が優勝した。

 ミルオトのミッションは「ユニバーサルなエンタメの拡張」だ。方山れいこCEOは「耳が聞こえない人や聞こえづらい人を音の世界で取り残さず、視覚情報への変換システムで新たな音の楽しみ方の可能性を広げたい」と意欲を示した。

 ソニーグループは「誰もが自分らしく、感動を分かち合える未来のために。」をテーマに出展。目玉の一つが、会話相手の音声をリアルタイムで高精度に文字として表示しコミュニケーションの課題を解決するサービスで、スマートグラスを活用することが特徴だ。

 会話時にマイクで集めた音声データをスマートフォンを経由してクラウド上に送信し、文字情報に変換。そのデータを再びスマホを介して文字としてグラス側に送り、空間の見えやすい位置に投映する仕組み。会場で説明員は、「言葉の壁や聞こえないという壁を乗り越え、みんながコミュケーションを取れるようにしたい」と力を込めた。