2023.10.25 事務機大手各社が中堅・中小企業のDX化支援本格化 電帳法やインボイス制度対応
事務機大手各社が、中堅・中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援策を活発化させている。富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)は、新クラウドサービス「FUJIFILM IWpro」を11月6日から提供する。エプソンはNTTデータと、中小企業の社会課題解決に向けた協業で合意した。中堅・中小企業はDX化や法令対応(改正電子帳簿保存法〈電帳法〉、インボイス制度)で遅れており、各社の支援策に期待がかかる。
リコー、リコージャパンでは中小企業向け「スクラムパッケージ」や中堅企業向け「スクラムアセット」などのソリューションパッケージや、「トレード帳票DXシリーズ」などが好評だ。電帳法やインボイス制度対応ではSansanと業務提携。Sansanの「Bill One」をベースに共同開発した「Bill One for RICOH」を提供している。
また、戦略的アライアンスで共創領域を拡大。サイボウズとの業務提携によるローコード開発ツール「RICOH kintone plus」や、グループ会社となったPFUとの連携を強めている。
富士フイルムBIは、事業フィロソフィー「CHX(カストマー・ハッピー・エクスペリエンス)」の下、顧客視点のソリューションに力を入れている。IT運用・管理業務を支援する「IT Expert Services」に続き、第2弾として「FUJIFILM IWpro」を11月6日から提供する。
クラウド上のワークスペースに、紙やメール、ファクスなどで受け取る業務に必要な情報や、データ化・出力・送信など一連の業務を集約。多様な既存システムをつなぎ、社内外のメンバーが共有できる場を提供する。パートナー企業としてサイボウズ、ドキュサイン、freee、オービックビジネスコンサルタント(OBC)など15社と連携しているが、さらに拡大する方針。アジアパシフィック地域にも同時展開し、国内では2027年度までに1万社への導入を計画する。
人材育成まで支援
キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は、中小企業向けIT支援サービス「HOME」やNIコンサルティングとの戦略的業務提携による「NI Collabo」シリーズに注力。「まかせてIT DXシリーズ」では、中小企業のDX実現に向け、セキュリティーや保守・運用サービスに加え、「経営支援サービス」「教育支援サービス」などでIT投資計画から人材育成まで支援し競争力強化につなげている。
業務改革とDXを支援するソリューションとして「DigitalWork Accelerator」で電帳法やインボイス制度に対応している。
コニカミノルタジャパンは、成功事例をパッケージ化したDX支援「サクセスパック」のラインアップを充実させており、現在、約300ソリューション(うちウェブ公開約100)をそろえる。
自社実践をソリューション化した「いいじかん設計」、Webサイト「IDEA SHOWROOM」を通じて、企業のIT基盤構築や業務プロセスの改善支援などにも取り組んでいる。電子マニュアル作成やマニュアルを一元管理するオンラインマニュアルサービス「COCOMITE(ココミテ)」も好評だ。
社会課題解決へ協業
セイコーエプソン、エプソン販売は23日、NTTデータと、中小企業を取り巻く社会課題の解決に向けた協業を発表した。エプソンは長年にわたって財務会計と税務申告のシステム開発を手掛けており、現在、9万社以上の税理士事務所と企業の経理部門向けに提供している。
今後、「会計データを活用した中小企業の経営課題の課題に集中投資する」として、税務申告システムの利便性向上と納税トータルコストの削減の実現を目指すNTTデータと、申告納税領域でシステムを共同開発する。中小企業を取り巻く経営課題、業務プロセスの電子化、自動化など協業領域を広げていく計画だ。
中堅・中小企業では「DXを推進する上でのIT人材不足、知識不足」が課題となっており、各社は各種ソリューションを通じてDX化を支援する。