2023.10.26 【次世代自動車用部品特集】ADAS/自動運転向けを強化

米テスラの電動SUV「モデルY」

自動運転コントロールユニット自動運転コントロールユニット

電子部品メーカー、センサーなど開発が活発化

快適な車内環境提案も

 電子部品メーカー各社は、ADAS/自動運転技術の高度化をサポートする電子部品・モジュール開発を強化している。将来の自動走行レベル4/5を実現するための高性能なセンサーや通信系デバイス、統合ECU向けソリューションなどの開発が進む。完全自動運転車での快適な車室内環境などの提案にも力が注がれる。

 自動運転の実現には、車外通信性能の高品位化や精緻な物体認識、高度な車両制御、AI/ディープラーニング、エッジコンピューティングを含む情報処理などさまざまな技術の融合が必要。搭載される電子部品・モジュールには極めて高い信頼性も要求される。電子部品各社は、これらのニーズに対応し、センサーや通信系デバイス、撮像系部品、大容量高速伝送用部品、EMC/ノイズ対策デバイスなどの開発を活発化させている。

 安全系部品では、ミリ波レーダーや車車間/路車間通信用のV2Xモジュール、LiDAR(ライダー)、カメラモジュール、赤外線センサーなどの開発に力が注がれる。

 車載カメラは、バックカメラ搭載義務化の動きに対応し、車載センシングカメラモジュールや周辺部品の開発が進展。バックモニター用に2メガピクセルクラスの製品が開発されている。

 LiDARは、小型・高精度化・低コスト化を追求した技術開発が進展。市販の機械式LiDARに加え、小型でコストパフォーマンスにも優れるMEMS式の開発も加速している。

 衛星による位置測位用のGNSS(全地球衛星測位システム)モジュールは、6軸センサー(加速度+ジャイロ)などを活用し、トンネル内でも測位を継続できるデバイスも開発されている。

 これらのデバイスとソフトウエア、AI/ディープラーニングなどを融合させたドライバー安全支援システムや路車協調システムなどをソリューションとして提案する部品企業もある。

 安全性向上のため、雨天時の車載カメラの水滴を瞬時に効率良く霧化する技術なども開発されている。完全自動運転車に必須のGNSS対応モジュールの小型・高性能化も進んでいる。

 最近は、世界的に社会問題化している「車室内児童置き去り事故」を防止するための車室内安全システム提案も進められている。車室内置き去り防止システムのセンシング方式としては、光学式(カメラ)のほかにも、パルスレーダー方式やFMCWレーダー方式、超音波方式、静電容量方式など各種方式の製品が開発・提案されている。

 また、将来の完全自動運転車での車室内リビングルーム化やビジネスルーム化に対応した車室内ソリューションにも力が注がれている。各社は車載用映像デバイスや薄型・軽量の車載スピーカーなどのほか、車室内空間の付加価値を高めるための提案にフォーカスしている。