2023.11.02 電子部品メーカー大手8社の連結中間決算(4~9月)、7社が2ケタの営業減益 産機やICT関連を中心に調整局面が継続

 電子部品市場の調整局面が続いている。11月2日までに出揃った電子部品メーカー主要8社(ニデック、京セラ、TDK、村田製作所、ミネベアミツミ、日東電工、アルプスアルパイン、ローム)の23年度(24年3月期)連結第2四半期累計決算(4~9月)は、7社が2ケタの営業減益となった。為替の円安はプラスに働いたが、ICT市場の低迷や産機市場での在庫調整などが影響を与えた。車載需要は堅調だが、産機・民生市場の回復の遅れなどを踏まえ、通期の業績予想を下方修正した企業も相次いだ。

 各社の上期業績は、高水準だった受注残に加え、円安の寄与もあり、売上高は3社が前年同期比増収となったが、営業増益はニデック1社のみだった。

 分野別では、車載は、半導体不足の緩和で自動車生産が回復したことやEV/ADAS関連などがけん引し、総じて堅調に推移した企業が多い。産機関連は設備投資需要減速や顧客在庫調整の長期化により低調だった。ICT関連も、巣ごもり需要の反動や中国市場低迷により低調に推移。データセンター関連の投資減退でHDD関連部品などの需要も落ち込んだ。収益面では、円安が追い風となったが、稼働率低下や原材料価格高止まり、売価低下などが各社の収益に影響を与えた。

 8社の中で唯一、上期業績が増収増益となったニデックは、重点を置く車載や家電・商業・産業用が堅調に推移し、売り上げおよび営業利益、税引前利益、当期利益がそれぞれ上期として過去最高を更新した。

 TDKは、上期は車載市場向けが全事業で増収となったが、ICTやHDD市場の停滞、産業機器市場の回復の遅れなどにより、減収減益となった。

 村田製作所も、上期はモビリティー向け売り上げは2ケタ増となったが、通信、コンピューター、家電、産業機器向けなどが低調に推移し、2ケタの減収減益となった。

 アルプスアルパインは、上期は、円安、自動車生産回復、新製品の寄与などにより前年同期比増収を確保し、営業利益は減益となったが、四半期ベースでは2Qは1Qから大きく改善した。

 各社の上期業績は、円安などを追い風に、当初の想定を上回った企業も少なくないが、下期の事業環境については不透明さを指摘する企業が多い。

 特に産機市場に関しては、「当初の見立て以上に市中在庫が多く、当面は在庫調整局面が続く」とする企業が目立ち、本格回復は24年度以降との見方が強まっている。データセンター関連も当面は低調に推移する見通し。スマホやタブレット等の需要は、下期以降、回復傾向が続く見通しだが、「回復は緩やか」と見ている企業が多い。

 車載は下期以降も堅調な回復が続く見通しだが、欧米の金利上昇や中国経済低迷の影響、さらにUAW(全米自動車労働組合)によるストライキ長期化の影響も懸念されている。

 それでも、各社の中長期の成長戦略や投資戦略に変化はなく、各社は市場や顧客の動向を注意深くウオッチしながら、今後も積極的な事業を展開する。通期の連結業績予想は、売り上げは3社が、営業利益は1社が過去最高の更新を見込む。

 (6日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報)