2026.01.26 【半導体総合/エレクトロニクス商社特集】エイブリック・田中誠司社長 半導体事業が回復軌道 スマホ堅調で25年度売り上げ10%増へ

 エイブリックは、ミネベアミツミグループが掲げる中核事業「8本槍(やり)」のうちベアリングに次ぎ2番目の槍に位置する半導体事業の一翼。田中誠司社長は市況を「徐々に回復傾向にある」と語る。2025年度は売上高で前年比10%増と世界半導体市場統計の市場成長率を上回る想定。スマートフォン向けで大手の注文が堅調なほか、医療機器用超音波診断装置も在庫調整が進み同領域は3割の伸び率を見通す。26年度も全体で2桁成長を目指す。

 スマホのバッテリー向けICや医療、車載向け新製品の寄与も見込む。車載の本格回復は28~30年度と予測。補機バッテリーの48V化を見据え自動車メーカーとの対話も増やす。

 AIが稼働するデータセンター(DC)の水冷システムに「バッテリレス漏水センサ」を提案。環境から得た微小な電力を蓄電、昇圧する「CLEAN-Boost(クリーンブースト)」採用製品で水1、2滴に反応する感度が高評価。無線式を販売するが電源や通信が整ったDC向けに有線式も開発する。欧州に点在する古い建物向けに近距離通信Bluetooth版に加え海外で普及する低消費電力広域通信LoRa版も提案する。

 超音波診断装置はカート型向けが好調。小規模医療機関でも導入が進んだとみている。ポータブル型向けは解像度向上した第2世代が25年初量産を始め26年以降数量を伸ばす見通し。より高機能化できるエンハンスド版も開発する。

 人事施策は各制度の中でも社会福祉士と連携した介護と仕事の両立支援窓口が注目。田中社長は「ベテランや若手を問わず優秀な人材の確保が重要」と語る。日本の半導体技術者は50歳代が多く、まだ介護に関わらずとも数年後直面する可能性があり、安心して働ける環境が重要だ。介護に限らず専門家に相談できる「お困りごとホットライン」も活用。若手育成や設計自動化、動画やデータで技術を残す取り組みも進める。

 ミネベアミツミグループは新分野のAIサーバー、ヒューマノイドロボット、ドローン、完全自動運転に焦点を合わせエイブリックも討議に参画。ロボットはセンシング、高精度化、低消費電力化に可能性をみる。