2023.11.07 オリンパス、八王子の新本社に仕掛け多彩に ラボもABW、社長も専用室なし

オープンな雰囲気のラボ

 オリンパスは、東京都新宿区の高層ビル街にある本社を、来年4月に八王子市に移転する。開発機能が集まっている同市の拠点に本社機能を集約し、社員同士のコミュニケーションを促すことなどが狙い。コロナ禍で定着したリモートワークも踏まえ、グローバルメドテックカンパニーをめざす一環ともなる。役員室廃止、オールジェンダートイレなど盛り込む。

 最終的なリノベ費用は非公開だが、見学した入社予定者などからは好評という新オフィス。社長兼CEOのシュテファン・カウフマン氏を含めて6500人がグローバル本社の所属となる。同社の新たな働き方改革の方針は「働き方を変える」と「働く場を変える」。最寄りの北八王子駅周辺は、実はテック系企業なども集まっている地域。より魅力的な拠点とすることで、エンジニアなどの採用にもプラスになるとの期待もある。

 本社機能とマーケティング・開発含む全ての事業機能が一拠点に集約されることで、より密接なコミュニケーションの実現を目指す。たとえば、実験室などは従来、閉ざされた空間にぎっしりと資料や資材が積みあがっているといったイメージがある。同社も実際、そうだったが、研究開発も原則としてABWの考え方を導入。「場所、席が聖域になっている面があった」とし、プロジェクトの優先順位などを判断して、柔軟にスペースを割り当てる方式。かつ、周囲に回廊のようなスペースもあり、社員も様子を垣間見ることができる。機密に支障のない範囲で、開発に関心を持ってもらえればといった狙いだ。

 役員専用室も廃止。役員が優先的に予約できる部屋は設けられるが、そこも、窓ガラスを曇りガラスと透明とを変更できるようなものにし、「役員も働きぶりを社員に見られる形」(担当者)という。

 今後、最終形に向けてリノベーションを進めるが、その中では、ジェネレーション(アイデアなどを生み出す、といった意)スタジオや、経営層と従業員が交流できるエグゼクティブセンター、またオールジェンダートイレといった仕掛けも入れる。

 新しい働き方推進とともに、最適なオフィス環境の構築などを通じて、「部門間のサイロ化をなくし、コラボレーションを加速、エンゲージメントと生産性を向上させる」としている。

 (8日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報予定です)