2020.03.13 環境省がESG金融推進で表彰制度を創設 第1回金賞に5部門7社

受賞企業がPRで活用できるロゴマーク

日立や富士フイルムHDが銀賞受賞

 環境省は、世界的な潮流となっているESG金融を国内でもさらに後押しするため、積極的に取り組む企業などを表彰する「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」を創設。第1回となる受賞者を選び、公表した。ESG金融全般を対象にした国による評価制度は初めて。

 銀行を主に対象とした「融資部門」など5部門で最高位の金賞に計7社が選ばれた。次ぐ銀賞(13社)や銅賞(22社)は、電機業界などからも多くの企業が受賞した。

 ESG金融は、環境・社会・企業統治という非財務情報を考慮して行う投融資。同省によると、欧米で火がついたため、16年時点では世界で占める国内ESG市場は2%程度にとどまっていた。

 だが、国内では18年までの2年間で残高が約176兆円増えて4.2倍に増加。世界の7%を占める規模に拡大した。

 公的年金を運用する、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が17年から、ESG投資を始めたことなどがきっかけになり、拡大スピードが速まったとされる。現在、国内規模は336兆円程度に達したという。

 同省では、18年1月から金融機関の代表らが一堂に会してESG投資などについて話し合う「ESG金融懇談会」を設置。計7回の議論を重ねて、同年7月に提言書を取りまとめた。

 提言では、「脱炭素社会への移行、SDGsを具現化した持続可能な経済社会づくりに向けて、ESG金融を主流化していく」ことなどを求め、詳細な施策には「優れた社会的インパクトを与えたESG金融の表彰」などを挙げた。その提言の具体策として表彰制度ができたという。

 今回の表彰は、金融機関、保険会社などを主な対象としながらも、「お金を流す側だけでなく、きちんと情報開示をして投融資を受ける側の企業も両輪として合わせて表彰する」(同省環境経済課)のが特徴だ。

 昨年10月~11月に公募。機関投資家向けの「投資家部門」など金融系の四つと、ESG投資の対象となる経営に取り組む上場企業向けの「環境サステナブル企業部門」の計五つに、100社を超える企業などから応募があった。「以前から積極的な取り組みを続ける電機業界などから多くの申し込みがあった」(同課)という。

 環境サステナブル企業部門では、花王とキリンホールディングスが金賞を受賞。銀賞には日立製作所が選ばれ、「3年ごとに設定する『環境行動計画』に基づく着実なPDCA推進姿勢」などが高く評価された。

 同じく銀賞の富士フイルムホールディングスは、「RE100加盟など野心的な目標を設定し、達成に向けた取り組み姿勢」などが選定理由とされた。同部門では、東芝やパナソニック、富士通、リコーなどが銅賞に選ばれた。

 同課は「資金の出し手である金融セクターを盛り上げることで、企業や地域に対してより資金を出しやすくなる。一方で、運用する側の企業側にも、どういう企業体がふさわしいのか指標を示すことができる」と話す。

 また、「各部門の金賞企業は取り組み自体がユニーク。制度の知名度を上げていくことで環境金融の推進に役立つ」と期待を込める。