2023.11.27 【はんだ総合特集】日本アビオニクス フラックスレスはんだ付け装置 パルスヒートと超音波融合

パルスヒートと超音波を融合した「フラックスレスはんだ付け装置」

 日本アビオニクスは、抵抗発熱を用いる抵抗溶接や電流で局所加熱するパルスヒート、レーザー光、振動による摩擦発熱を利用する超音波-の接合4工法を持つ。強度や品質、タクトタイム、コストなど顧客が要求する条件から最適な工法を柔軟に提案できるのが強みだ。

 新開発の「フラックスレスはんだ付け装置」は、パルスヒートと超音波を組み合わせた複数工法を有する同社独自の技術による装置。酸化物を除去する役割のある補助剤のフラックスを使わずに、はんだ付けができることが特長だ。

 フラックスを使用したはんだ付けでは、ガスの揮発などによってはんだ内にボイドが発生する。ボイドは基板への放熱を阻害し、電気抵抗などチップの電気特性を悪化させる上、フラックスの残さは絶縁性にも影響を与える。

 同社の装置は、フラックスを使わずに超音波発振装置で酸化膜を除去し、パルスヒート接合装置で高精度なはんだ付けを行う。

 特に放熱性が問題となるパワー半導体での活用を主なターゲットにする。フラックスに起因するボイドを排除して熱抵抗や電気抵抗の低減を実現。パワーデバイスの熱マネジメントの課題解決に寄与する。

 フラックスを使わずに酸化膜を除去する方法としては、ギ酸還元などもある。だが、ギ酸は人体に有害な上、減圧装置も必要。アビオのフラックスレスはんだ付け装置は、安全に大気圧下でフラックスレスはんだ付けが可能だ。

 管理や設備のコストを要するギ酸還元に対し、フラックスの残さも出ないため洗浄工程が不要となり、装置の簡素化が図れるのもポイント。大型のリフロー炉を使うパワーデバイスメーカーに向けて、コンパクトで安価に設備構成ができる点も訴求したい考えだ。