2024.01.03 【暮らし&ホームソリューション特集】’24展望 外向き消費

家電量販店のポータブル電源売り場

ポータブル電源など注目
アウトドアや防災にも意識

 新型コロナが感染法上の5類に移行したことで、外向き消費が高まった。リクルートが実施した、首都圏・関西圏・東海圏での夏の余暇活動に伴う外食に関するアンケートによると、この夏に行きたい行事・外食は、54.4%が「国内旅行」と答えて1位となった。

 外食や外出に積極的な理由の1位は「コロナ禍が落ち着いてきた」(35.7%)だった。

 外向き消費が増える中、家電分野では耐久消費財への支出が減り、大型家電を中心に販売に影響した。各メーカーは、屋内外両用の製品などユーザーのニーズにマッチした商材で対応した。ポータブル電源やソーラーパネルは、アウトドアで楽しむことを目的とする人と防災への備えの観点が両輪で作用して売り上げを伸ばした。

 家電量販店では、ポータブル電源をコーナー展開する店舗が多かったが、POPではアウトドアと防災をそれぞれ訴求したことで、幅広いユーザーの視線を集めた。

 JVCケンウッドは、日産自動車、フォーアールエナジーと共同開発した、電気自動車の再生バッテリーを利用したポータブル電源「IPB01G」をKENWOODブランドで発売した。

 自己放電が少なく長期保管が可能なため、災害時などの非常用電源にも適している。防災から屋外でのレジャーまで、さまざまなシーンで活用できる。

 アウトドアと屋内どちらでも活用できる点は、コストパフォーマンスの良さを感じさせ、幅広いジャンルで注目された。

 テスコム電機の、場所やシーンを選ばない手軽さと、1台5役のマルチ機能で毎日の料理づくりに活躍する「テスコム コードレスハンドブレンダー TBL70A」は、電源がない場所でも調理を楽しめる。

 国内外の旅行を意識した製品も多い。コンパクトで持ち運びしやすいものがいろいろと発売された。

 小泉成器の、外出先で簡単に髪の毛を整えることができる「コードレスストレートアイロン」は、コロナ禍を過ぎて大きく販売状況が変化した。

 2020、21年の緊急事態宣言時と比べて、売り上げが5倍以上に拡大。23年は、安定して毎月5000台前後を売り上げている。

 スマートフォンなどの充電ができるモバイルバッテリーも、外出時間の増加で一気に需要が高まった。

 マクセルのモバイルバッテリーは、薄型やマグネット吸着するワイヤレスなど製品群が充実している。売り上げも好調で、数量ベースで、22年10月~23年9月は前年同期比約120%、前々年同期比では約165%と、堅調な推移を示しているという。

 人々が過ごす場所が、屋内外問わず多様化したことで、いつでもどこでも使用できるものが増えた。自宅で使用するものと持ち運び用の2台を所有する必要もなくなり、より厳選した1台が求められている。