2020.03.30 【クラウドサービス特集】富士通ビー・エス・シー ファスト・ローンチ・サービス 新サービスの早期立ち上げ支援

 富士通ビー・エス・シーは、ICTを活用して企業の課題解決を支援するサービスの提案に力を入れている。その一つとして、多様なクラウドサービスを組み合わせ、顧客ビジネスの迅速な立ち上げを支援する事業の拡大を目指している。

 同社が注力する事業は、昨年3月に提供を始めた「ファスト・ローンチ・サービス」。

 様々なアプリケーション開発を効率化する複数の「API(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)」を最適に組み合わせてシステムを構築することで、顧客が新サービスを迅速に始動できるようにする。

 APIは同社のほか、外部企業のものも活用。クラウドサービスとしては、米アマゾン・ドット・コムが運営する「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」や富士通クラウドテクノロジーズの「ニフクラ」などを活用する。富士通ビー・エス・シーはAWSなどの活用で豊富な実績を持ち、それを役立てた。

 ファスト・ローンチ・サービス開始後も継続的に改善できるよう、ソフトウエアの企画から開発・運用までを高速化する「DevOps(デブオプス)」の基盤を活用。ソフトの機能を検証するテストを自動化し、素早く仕様変更や機能追加を行えるようにする。

 同サービスは、使用期間に応じ毎月一定額の費用を負担する「サブスクリプション」の仕組みで提供。導入企業は月々の費用負担を抑えられるほか、通常1年程度かかるサービスの構築期間を約3カ月間に圧縮できる。

 既に同サービスは、個人間取引のレンタルサービスなどを手がけるピーステックラボ(東京都渋谷区)が採用。18年に家電や生活用品を手軽に貸し借りできるシェアリングサービス「Alice.style(アリススタイル)」の提供を始め、実績を積んでいる。

 富士通ビー・エス・シーは、同サービスを活用して高齢者や子どもらを遠隔で見守る試みにも注目。

 居住場所に設置したカメラが登録した顔を検知すると、メールで通知したり映像を閲覧したりできるようにする。現在、自社で実証試験を進めており、サービス化も視野に入れている。

 今後とも多様化する消費者の生活スタイルや価値観を踏まえて、新サービスを早期投入したい企業のニーズに積極的に応える方針。

 先端テクノロジー統括部の岡田大輔プロジェクト課長は「顧客企業が新サービスを立ち上げる際に参考にできる『テンプレート(ひな型)』も複数用意したい」と強調。3年以内に100社への導入を狙っている。