2024.01.10 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2024年の経営戦略 NKKスイッチズ 大橋智成社長
大橋 社長
企業価値上げ市場で存在感追求
2023年度は、高水準の受注残を背景に売り上げ面では一定の実績を確保できているが、受注に今までの勢いはない。現状では先行受注の影響で部品が市場にだぶついているが、24年度下期ごろから再び受注が上向いてくるというのが業界全体の見方だと思う。
最近はわれわれのビジネスモデルもいろいろ変化してきている。当社は「『モノ売り』から『コト売り』への転換」を方針の一つに掲げているが、それが徐々に浸透してきたと感じている。われわれが有するHMI技術や接点技術を活用し、制御関連分野の中でドメインを広げていくという応用展開に力を注いでいる。
コト売りを実現するためには、顧客の技術部門を直接訪問し、潜在的なニーズを引き出すことが重要となる。このため、開発部門の技術者の中から数人のFAEを選定し、技術営業として販売の最前線に投入する活動を始めている。
当社は21年に、10年後の30年のあるべき姿に向けた新たなグループビジョン「私たちが笑顔となり、お客様の困りごとを顧客目線で解決する、真のパートナーとなります。」を策定した。22年度にスタートした現中期経営計画(3カ年)では、新たな行動理念に「信頼し、信頼される良い会社」を制定するとともに、特に「信頼」と「納期」を重点テーマとした。
納期に関しては、根本から改善するため、部品の精度を左右する金型に着手し、更新や修正などの強化に徹底して取り組んでいる。また、さらなる原点は設計段階にあり、隘路(あいろ)部品の改造にも取り組んでいる。
当社の生産子会社NKKスイッチズパイオニクスは23年6月、横浜市戸塚区に新工場建設のための用地を取得した。新工場は24年度中に建設し、25年度からの稼働を予定する。
また、従来は本社に配置していた倉庫を、BCP(事業継続計画)の観点から川崎市川崎区に移転した。移転を機に試験設備なども新調し、品質面や技術面の強化につなげる。新試験室は24年2月の稼働を予定している。
当社は23年に創立70周年を迎えることができた。今後も当社の理念「Great Small Company」の下で、企業規模の追求ではなく、企業価値を上げることにより、市場での圧倒的な存在感を追求していきたい。