2024.01.12 【放送/機器総合特集】放送機器各社 24年の戦略 パナソニック コネクト 谷口昌利メディアエンターテインメント事業部プロAV事業総括 梶井孝洋現場ソリューションカンパニー映像メディアサービス本部マネージングダイレクター

谷口 事業総括

梶井 マネージングダイレクター梶井 マネージングダイレクター

イメージング事業を成長の柱
KAIROS中心に

 近年、映像制作市場が民生用とプロ用でボーダーレスになっている。こうした市場のニーズに対応するために、イメージング事業をパナソニックグループ内で統合して強化していく。

 4月に当社が担当するプロAV事業と映像制作を手掛ける傘下のパナソニック映像を、グループ会社のパナソニック エンターテインメント&コミュニケーションに移管する。統合後はイメージング事業を成長戦略の柱として、融合が進む市場への対応力を強化し、多様なクリエーターのニーズにスピーディーに応えていく。

 2023年はコロナが落ち着いた反動で、リモートカメラを中心にカメラ市場はシュリンクしており、放送・映像制作の市場全体も苦戦した一年だった。

 一方で、24年以降に向けての製品開発は継続しており、IT/IPプラットフォーム「KAIROS」の第2世代となるメインフレームなど3モデルを開発。第1世代と比べ映像処理能力の向上や冗長性への対応による安全性の向上、静音設計を実現させるなど大幅な進化を行った。国内外から好評を得ており、引き合いも多く、放送局以外の業界にも提案しやすくなった。手軽にストリーミングができるコンパクトなIPスイッチャーや4K60P撮影可能な屋外対応一体型リモートカメラも商品化し、高精度な屋外撮影、堅ろう性、豊富なI/Fによるシステム構築の柔軟性を実現。国内のみならず、米国を中心に海外でも好評を得ている。

 映像制作の業務においては、業務を効率的にサポートするためのソフトウエアも強化。撮影現場での運用をサポートするソフトウエアプラットフォーム「Media Production Suite」を提供開始。お客への貢献をハードウエアのみならず、ソフトウエアの観点でも広げていく。

 24年はIP化が広がる中、既存のスタジオカメラをIP環境に簡単接続していくためのカメラコントロールユニットなど、KAIROSを中心として、カメラとスイッチャーなどがIPで接続されるIPベースの制作環境づくりにさらに取り組む。また、映像制作現場の効率化に向け、自動追尾やグリーンバックなしでも映像合成を簡単に実現できるプラグインソフトを提供していくなど、映像制作現場における省力化、IP化、業務効率化を実現する商品・ソリューションの提供に向け積極的に取り組んでいきたい。また、昨年10月にプロAV事業とサウンド事業を一本化し、効率的な運用、融合商品の開発など、スピーディーな推進を行える体制を整えた。

 24年も現場とリモート環境をつなぐハイブリッド環境を提供するなど、音響と映像の両面から新たな顧客価値を提供していく。

 国内では、コロナから回復しつつある中で、イベント関連は再び活況を取り戻している。また、プロジェクターを中心に空間演出に関わる分野は非常に好調だった。一方で、会議室でのリモート会議や大学でのリモート講義などが定着しつつある中、さらに映像・音声ともに高品質を求めるニーズが多かった。

 国内の事業方針としては、「業務の効率化」「コンテンツの質の向上」「感動体験」の提供を挙げている。

 映像制作の分野では、KAIROSをどう広げていくかを大きな取り組みとしている。KAIROSを柱に、従来の放送局、スタジアム、配信プロダクションの市場に加え、さらに新しい市場を狙って取り組みを進めたい。KAIROSの優位性をアピールし、これまで3年間で培ってきた経験を生かしながら、映像制作のIP化、リモートプロダクションをキーワードに、顧客への業務効率化とコンテンツの質の向上を両立した提案を積極的に進める。

 CATV業界に関しては、STBを中心に、保守のサポートサービスなど、業務の効率化をキーワードに注力しつつ事業を推進する。

 空間演出の分野では、デジタルサイネージソリューション「AcroSign」で新たなサイネージの価値を提供している。今後豊富なデバイスとプロジェクターとの連携による多彩な表現力で体験価値を向上させていきたい。