2024.01.16 【半導体/エレクトロニクス商社特集】半導体/エレクトロニクス商社 24年の経営戦略 RYODEN 富澤克行社長
富澤 社長
データドリブンによる事業創出
RYODENは昨年4月、「事業創出会社」への変革の決意を込め、社名を菱電商事から変更した。
富澤克行社長は「お客さまには会社が変わろうとしていることを実感いただき、好意的に受け止めていただいている。社員も好機と捉えている」と社名変更の効果を語る。
基幹4事業のうち、FAシステムでは製造業のスマート化を可能にするソリューションを提供する。省人化やカーボンニュートラルに向けた投資が活発で、工場設備などを統合監視・制御するクラウド型のエネルギーマネジメントシステム「レムセス」が好評だ。
富澤社長は「コンパクトに導入できる点が評価されている」といい、中規模工場での導入実績を重ねて関連工場への横展開を図り、電力や環境、ユーティリティー設備などの幅広い領域へ対応していけるように、提案を進めていく方針としている。
冷熱ビルシステムは再開発案件が活況だ。ドライバーの時間外労働の上限規制を背景に、低温設備やコールドチェーンの拠点を増やす動きも同ビジネスにとって好機となっている。
エレクトロニクスは昨年10月、デバイスシステム事業本部に「マーケティング部」を設置した。パワーやセンシング、アナログなどのデバイスの新しい用途を探して、顧客の開拓を担う組織。車載向けを主要なターゲットにし、海外では受配電系でパワー半導体を拡販していく。一般産業向けセンサーなどは今後さらに需要が期待されており、提案を強めていく。
新事業セグメントのクロステックでは、スマートアグリに注力する。ファームシップ社を子会社化して、植物工場野菜の生産・流通・システムをトータルでビジネスできる環境が整った。
オペレーションを見直して生産効率は30%向上。エネマネも含めた同社のシステム導入で電気代を削減できる点や多品種変量生産で露地物とは違う付加価値を訴え、事業化への取り組みを進めている。
2024年は5カ年計画の最終年度になる。富澤社長は「〝データドリブンによる事業創出〟をさらに発展させていく」と決意を示す。