2024.01.18 【情報通信総合特集】ICTベンダートップに聞く 24年の見通し・経営戦略 TOKIUM 黒﨑 賢一 代表取締役

支出管理で企業成長支援
文書データ化で価値を創出

 請求書受領や経費精算、文書管理などの業務を効率化する支出管理クラウドサービス「TOKIUM(トキウム)」の導入実績は、この1年間で前年から倍増の約2000社に膨らんだ。

 コロナ禍が収束し企業のシステム投資が前向きになっている中、昨年はインボイス制度と電帳法改正への対応をトキウムで支援できた。安価な月額料金で使えるよう数年前から準備を進めてきた。大手から中堅中小企業まで幅広く役立ててもらい、手応えを感じている。

 ビジネス文書のペーパーレス化が進むが、紙の請求書やレシートはまだまだ使われている。その1枚1枚をスキャンし電子データ化した上で一元管理するのがトキウムの特徴。

 インボイス制度導入後も紙の請求書は引き続き発行されている。外食産業など全国に多拠点展開する企業では拠点別の家賃や光熱費、通信費も含め大量の請求書を扱うためニーズが強まっている。

 トキウムを導入することで当社が紙文書のデータ化を肩代わりし、顧客企業に届く紙の請求書をなくせるのが強みであり、顧客企業の100%ペーパーレス化を支援するのが当社の取り組みだ。

 さらに、電子化されたデータを使って支出管理や経営を支援する方向に業態を進化させている。取引先との契約期間や使っているソフトの月額単価の推移などを可視化して、適正かどうかを情報共有するといった新たな価値の提供にも踏み込んでいきたい。

 生成AI(人工知能)の登場で、AIがデータについて示唆を与えることがかなり簡単になってきた。社内の書棚で眠っている紙の書類を全てスキャンしてデータをクラウド上に上げ、生成AIが読み込んで示唆を出す仕組みを今年は構築したい。請求書や領収書に限らず、契約書も含めあらゆる書類を読み込んで、生成AIが導き出した示唆に基づいてソリューションを提供していく。過去の勤怠状況や退職者の履歴、採用面接の情報など労務にまつわるデータは全領域にわたり、支出管理の側面もある。こうしたデータを活用してバックオフィス部門から利益を創出できると考えている。

インタビューに答える黒﨑代表

 インボイス制度と電帳法をきっかけに、経費精算システムの見直しを検討する企業が増えた。今年は経費精算システムの乗り換えニーズが高まると見込まれ、トキウムを訴求していく。

 社員数は前年比85人増の267人。東京、千葉、徳島、フィリピンと四つある処理センターを今後増やし、事業を拡大したい。