2024.01.18 【情報通信総合特集】2024市場/技術トレンド オフィス改革

複合機と連携したソリューションが活発

DX、働き方改革を支える複合機DX、働き方改革を支える複合機

中堅中小企業のDX化に期待
電帳法導入などを後押し

 事務機各社では、複合機と連携したオフィスソリューションの提案に力を入れている。DX(デジタルトランスフォーメーション)や働き方改革の加速で、事業環境も大きく変化。ハイブリッドな働き方がニューノーマルになっている。法制面では1月1日から、改正電子帳簿保存法(電帳法)が義務化され、昨年10月からはインボイス制度(適格請求書等保存方式)も始まった。待ったなしの法改正を機に、遅れていた中堅・中小企業のDX化も進展が期待されている。

 中堅・中小企業のデジタル化への取り組みも進展している。

 今後、中堅・中小企業もビジネスモデルの変革や競争力強化や業務効率化を実現していくため、デジタル化が本格化する見通しだ。電帳法やインボイス制度の導入など法改正も後押しする。一方、特に中小企業は人手不足の深刻化などの課題を抱えている。

 各社は中堅・中小企業のニーズを捉え、支援策を強化している。

 リコーは、中小企業向け「スクラムパッケージ」、中堅企業向け「スクラムアセット」の「スクラム」シリーズが、計画を大きく上回って販売を伸ばしており、2023年度上期の売上高は前年同期比159%、累計販売本数も36万本を突破した。カスタマイズできるローコード開発ツール「RICOH kintone plus」などを提供する。「お客様と共に成長し、地域社会に貢献するサービスインテグレーター」を掲げるリコージャパンでは、「お客さま起点によるソリューションの提供体制を強固にし、お客さま、地域・社会の課題解決を通じた成長を実現していく」と力を入れる。

 富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)は、DXを加速するクラウドサービス「FUJIFILM IWpro」を、昨年11月から提供開始した。主に中堅・中小企業を対象に27年度までに、国内で1万社への導入を計画する。

 同社は、ビジネスソリューション事業のフィロソフィー「CHX(カストマー・ハッピー・エクスペリエンス)」を設定し、顧客の成功体験を実現するソリューションとサービスを強化している。第1弾として、中堅・中小企業のIT運用・管理業務を「IT Expert Services」を提供している。

 また、富士フイルムBIジャパンが、成功事例を導入しやすいパッケージとして提案している「Bridge DX Library」も好調。ラインアップを約150種に拡充した。

 キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)では、中小企業向けIT支援サービス「HOME」やNIコンサルティングとの戦略的業務提携による「NI Collabo」シリーズを強化。「まかせてIT DXシリーズ」では、中小企業のDX実現に向けセキュリティーや保守・運用サービスに加え、「経営支援サービス」「教育支援サービス」などにより、IT投資計画から人材育成まで支援、競争力強化につなげている。

 また、業務改革とDXを支援するソリューションとして「Digital Work Accelerator」に注力。電帳法やインボイス制度に対応している。

 コニカミノルタジャパンでも、成功事例をパッエージ化したDX支援「サクセスパック」を発売。現在、約300ソリューションをラインアップしている。「働きやすい環境支援」では、オフィスソリューショ事業、DXソリューション事業などを通じて「いつでもどこでも働ける環境づくり」に注力する。

 同社では、特に中小企業をターゲットにITサービスや複合機と文書管理の連携、同社が注力するオフィス設計・デザインといった空間デザインなどに力を入れている。

 エプソン販売は、オフィスの中心機種であるA3カラー複合機「エプソンのスマートチャージ」で環境への意識が高い企業や医療、サービス業、官公庁、税理士事務所などプリント需要が高く、環境価値の効果が出やすい業種なども対象に販売を強化している。

 東芝テックは、複合機本体と専用連携アプリ「e-BRIDGE plus for Collastorage」で、クラウドストレージサービスを拡大。シャープもスマートオフィスサービス「COCORO OFFICE」と複合機の連携を強化、電帳法などに対応したクラウドストレージサービスを拡充している。