2024.01.19 【LED照明特集】LED照明 トップが語る24年の事業戦略 ホタルクス 山村修史代表取締役社長

山村 社長

製造業の人材派遣
ウイルテックとシナジー発揮

 昨年の照明市場は、コロナ禍に比べると施設関連の案件が動いていることもあり、復調傾向ではあるが、いい状況とは言い難い。原材料費の高騰などもあって当社も製品の値上げを行っているが、あくまで材料費が上がった分のみ。収益を押し上げるような効果はなく、照明の価格は依然として厳しい状況だ。

 そうした中、製造業の人材派遣を手掛けるウイルテックが11月に当社を子会社化すると発表した。当社から言えることはほとんどないが、相乗効果を生み出せる余地はあると思っている。

 これまでも当社は、事業ポートフォリオを変えるべく、新規事業などにも取り組んできた。水俣条約で2027年末には直管型蛍光灯もいよいよ製造・輸出入できなくなるため、滋賀工場(滋賀県甲賀市)も設備を一部転換する必要がある。今年は、ウイルテックが展開する製造人材サービスやEMS(電子機器受託製造)でシナジーを発揮したいと思っている。

 今年の照明市場自体は昨年と同じように厳しい状況が続くと見ており、前年並み程度の推移となるだろう。初期に導入したLED照明から最新のLED照明へと交換する需要が出てきており、商業施設などの業務用途が比較的堅調だ。今年はもっと力を入れて取り組んでいく。

 業務用途を強化する一方で、照明で培ってきたノウハウを生かした新たな製品の展開も強化していく。例えば、(音声マルチリモコンの)「しゃべリモ」は、声で家電を操作するという当初の使い方だけでなく、新たなアプローチや可能性も出てきた。目の不自由な方でも使いやすいということで、施設から引き合いが来るなど、開発した当初とは違うユーザー層が出てきつつある。農業用照明にも昨年、本格的に再参入した。事業の拡大を目指し、展示会に出展するなど積極的にアピールしているところだ。

 主力のシーリングライトは、基本機能を実装した製品をボリュームゾーンで展開するとともに、高付加価値品もしっかり売っていく。(家電リモコンの)「HotaluX LINK」のように、生活を便利にする製品も重要。照明を軸とした事業は、これまで以上に来年も力を入れていきたい。