2024.01.24 三菱電機がxEV用パワー半導体モジュールを開発
パワー半導体事業の戦略を説明する楠事業部長
三菱電機は、自動車の電動化の進展に対して新たなパワー半導体モジュールを開発した。従来製品に比べ熱抵抗の低減で大幅な小型化が実現。電気自動車(EV)の電費改善や航続距離延伸が期待できる。24日に都内でメディア向け説明会が開かれた。
今回発表したのはEVやプラグインハイブリッド車(PHEV)などのインバーター駆動に用いるxEV用パワーモジュール「J3シリーズ」。コアモジュールの「J3-T-PM」はSiC(炭化ケイ素)-MOSFETと、シリコンを用いたRC-IGBTを搭載した2種で展開する。
J3-T-PMはSiCに適した内部構造にすることで製品サイズは従来品比約40%に。これまでモジュールと冷却器をグリースで接続していたが、はんだで接合する新技術を用いて熱抵抗を30%削減したことに成功、小型化が実現した。
SiC-MOSFETには溝を形成してゲート電極を埋め込む「トレンチ型」を採用。信頼性と低損失を両立させる技術で従来のシリコン製品に比べ最大で80%の損失低減が可能になった。EVの電費改善に寄与する特長だ。
J3-T-PMを組み合わせた製品も幅広くラインアップ。J3-T-PMを3個搭載した「J3-HEXA-S」と、6個搭載した「J3-HEXA-L」の2タイプで、HEXA-Lは大容量のモーター出力に対応する。
同社は1990年代にSiCモジュールの開発に着手し、製品化してきた実績がある。半導体・デバイス第一事業部の楠真一事業部長は「これまで培ってきたパワーモジュールでの技術基盤やビジネス基盤を最大限に生かすことで市場ニーズに応える」と話した。シリコン製品についても「ベースロードとして、今後も安定かつ持続的な供給をしていく」考えだ。
(後日の電波新聞/電波デジタルに掲載します)