2024.02.06 【コネクター特集】製品別動向 産業用高速伝送対応コネクター

800ギガbpsイーサネット対応の光通信モジュール用インターフェースコネクター

224ギガbps伝送向け開発進む

AIでDC市場活発化

 産業機器用コネクターメーカーの高速伝送対応ソリューションの技術開発が進展している。各社は、データ容量増大に伴う次世代データセンター(DC)やAI(人工知能)サーバーなどでの高速伝送要求に対応し、高周波・高速伝送対応コネクターやケーブルアセンブリーなどの技術開発にしのぎを削っている。

 5G通信の普及やビッグデータ、AI、IoTなど、クラウドデータ量の増大に伴い、これらのデータをより早く、安定した通信を行うことが求められている。さらに、生成AIの普及拡大が、よりハイエンドなDC需要を押し上げていくことが予想されている。

 世界のDC市場では現在、伝送速度の主力が56ギガbpsに移行しているが、次世代の112ギガbps伝送への高速化に向けた技術開発も進み、徐々に実用化が始まりつつある。さらに、次々世代の224ギガbps伝送に向けた研究開発も始まっており、数年後には実用化が見込まれている。

 このため、コネクターメーカーでは、DC機器の112ギガbps伝送への高速化、高密度化を実現するためのソリューションの提案に力を注いでおり、2023年以降、224ギガbps伝送向け製品の試作開発なども国内外で始まっている。

 さらに、生成AI向けで需要増大が見込まれるハイパースケールDCなどに照準を合わせ、800ギガbpsイーサネット対応の光通信モジュール用インターフェースコネクターなどの開発も進んでいる。

 DCでは、情報システム機器を運用するために必要な物理的スペースと電源や空調設備などが重要なため、運用にかかる負担を軽減することも課題となる。

 また、DCでは電力も大量に消費するため、環境保全の観点から、DCの増加に伴う電力消費量増大を抑制するための高効率化技術も重要視されている。

 産業機器用高速伝送対応ソリューションを手掛ける米系や日系などのコネクター各社は、こうしたニーズを捉えた112ギガbps PAM4対応の高速伝送対応ソリューションの開発を強化。112ギガbps PAM4対応コネクター開発では、DCでの高速化、高密度化のボトルネックとなっていたASICと光トランシーバーI/Oの距離を短縮することで、伝送損失を低減し、DCの高速化と高密度を実現する新構造の開発や、システムの冷却性能向上によりDCの低消費電力化が図れる独自のエア取り込み構造などが提案されている。

 また、次世代高速伝送ニーズに対応し、よりプロセッサーに近い基板上で光電変換を行うことで、基板上の電気配線距離を短くし、伝送損失を大幅に低減する超小型アクティブ光モジュールなども開発されている。