2024.02.24 「日本の半導体ルネサンス開始」 TSMCのカリスマ創業者、モリス・チャン氏
ソニーの盛田氏との思い出の一端を語るチャン氏
台湾TSMCが、熊本県で建設を進めてきた第1工場の開所式では、TSMCのカリスマ創業者の張忠謀(モリス・チャン)氏も来訪。日本との思い出を語りつつ、期待を寄せた。拠点増設の意欲も示した。
チャン氏は「1968年、日本を初めて訪れた」と半世紀以上前の思い出を回顧。TSMCを起こす前で、テキサス・インスツルメンツの副社長として、ソニーの盛田昭夫氏(故人)と面会。両社のジョイントベンチャーの協議を目的に、2時間話したという。
「私よりも10歳年上だが、すでに伝説的な人。親切に対応してくれた」。その際、盛田氏に「日本の歩留まりの良さに驚くだろう」と告げられた。「実際、歩留まりに驚いた」と、日本のモノづくりの精度の高さに、当時から印象付けられていたことを披露した。
「日本と台湾は、文化や人材なとで似た点がある」と指摘。2019年、経済産業省の招きで日本を訪れたことを振り返り、「工場が実現して感慨深い。日本や世界にとって、半導体供給のレジリエンスをさらに強化できる」と展望。新工場について「素晴らしい成果を期待する。日本の半導体のルネサンスの始まりだ」と、日本の半導体産業の復活・再生へのエールを贈った。
さらに、「最近、社内のAI担当者と話して、AIに必要な半導体の生産量について、驚いた。ウエハー何万枚といったことではなく、ファブの数を挙げていた。たとえばファブ3カ所、4カ所、10カ所が必要とのこと(表現)だった」と、今後の需要増を展望し、さらなる拠点整備の意欲をにじませた。
(26・27日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報予定です)