2024.02.27 【複合機ソリューション特集】MPS 企業の業務プロセス改善も視野

MPSでオフィスの最適なIT環境を実現

 企業のESG(環境・社会・ガバナンス)への急速な関心の高まりを背景に、事務機各社では、オフィス環境の最適化提案などに力を入れている。複合機やプリンターは、オフィスの消費電力の約1割を占める。出力機器の適正管理は、トータルコスト削減の観点からも喫緊の課題。各社では、マネージド・プリント・サービス(MPS)や出力環境アセスメントサービスなどを通じて、企業の業務プロセス改善まで視野に入れたサービス展開を本格化させている。

 MPSは、オフィスの複合機やプリンターをはじめとする出力環境の改善と運用管理などをトータルでサポートするアウトソーシングサービス。最適な出力環境を実現するために、出力状況などを見える化し、機器の最適配置を提案して構築し、さらに継続的に改善を支援する。

 昨今、ESGの観点からCO₂削減などの削減などの環境面、セキュリティー対策やガバナンス強化の面から高い関心を集めている。

出力環境を最適化

 オフィスにおける電力消費は、約10%は複合機やプリンターが占めている(エプソン調べ)。今後、オフィスの出力環境の最適化を実現するサービスへの関心が、ますます高まる見通しだ。

 富士フイルムビジネスイノベーション(富士フイルムBI)の白旗謙次朗ビジネスソリューション事業本部マーケティング部サービス企画グループ部長は「MPSに対する認識は、確実に高まっている。IT人材の不足、サーバーセキュリティー対応、さらに環境面から特に、MPSを導入する企業が増えている」と市場動向を分析する。

 同社は「MPS Guardia(ガルディア)」を提供。MPS Guardiaでは、出力環境の最適化と出力の管理業務を支援する「コストコントロール」、出力機器の稼働情報の自動取得と迅速な対応を行う「プロアクティブサポート」、サービス稼働状況の確認やさまざまな依頼ができるポータルの提供などの「ユーザビリティー」、出力機器をリモートで集中管理し、出力のガバナンスとセキュリティー管理するサービスを提供している。さらに新機能として「ECO推進機能」を追加している。

 ハイブリッドワークが普及し、ネットプリントの活用といったオフィス以外の出力が増えている。「オフィス以外で働く環境が定着して来ており、社外での出力も合わせ、トータルな出力環境のリポートに力を入れている」(同)。また、同社のほかのソリューションとの連携を強化していく方針。MPS Guardiaと、国内外で800万ライセンス以上を提供している同社のハンドリングソフト「ドキュワークス」との連携を2023年度から本格的に開始しており、今後はクラウドサービス「FUJIFILM IWpro」やITインフラ環境を支援する「IT Expert Services」との連携を図っていく。

 リコーはMPSで「出力環境における改善策」として、「コストの最適化」「業務の軽減」「環境対策」「出力機器の有効活用」を提案。「コストの最適化だけでなく、業務プロセスの改善による人の本来業務へのシフトや環境対策を、MPSの大きなメリット」として訴求している。「目に見えるコストに加え、生産性など目に見えないコストを改善していくことが、MPS導入のポイントになる」とみる。

 コニカミノルタは、「コニカミノルタOPS」を早くから展開し、グローバル実績を上げている。OPS(オプティマイズド・プリント・サービス)の名称でMPSを提供している。

 キヤノンは全世界共通のマネージドサービス「キヤノン・マネージド・ドキュメント・サービス」を提供。国内販社のキヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は、企業の業務を受託するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスで、人材不足の課題を抱える中堅中小企業を支援している。東芝テックも米国など海外での実績をベースにMPSに早くから注力する。

 エプソン販売は、複合機の消費電力削減・適正配置のニーズに対応、出力アセスメントサービスに力を入れる。また、パソナグループ会社が提供する「CO₂排出量可視化BPOサービス」との連携などエコシステムを拡大している。