2024.03.21 手袋したままタッチ操作 超小型な圧電スイッチ、TDKが開発

5.5ミリメートル角の「Piezo Tap」

 手袋だと操作できず、汗や水が付着すると誤動作する―。家電やスマートウォッチなどで使われる静電容量式タッチセンサーのそんな“弱点”克服を狙い、TDKが、圧電技術を活用した超小型なタッチスイッチ(タッチセンサー)「Piezo Tap」を開発中だ。5.5ミリメートル角、厚さ約0.3ミリメートルの超小型・高性能タイプで、静電容量式タッチセンサーの代替を想定。2025年前半の量産開始を目指す。

 Piezo Tapは、タッチした押し込みで生じる微小変位を圧電素子によって電圧に変換する「圧電効果」を利用した圧電スイッチ。通常の静電容量式タッチセンサーは「手袋だと操作不可」「汗や水が付着すると誤動作を起こす」などの弱点があったが、Piezo Tapは手袋装着時や水回り環境でも操作が可能。導体、絶縁体のどちらにも取り付けられる。

 同社は、モバイル機器や生活家電などでの物理ボタンの凹凸を無くすシームレス化に対応し、Piezo Tapの開発に21年から着手。静電容量式センサーの採用が多い中、そのデメリットを考慮し、操作面の状態や材質に依存しないひずみ検知式の圧電素子にスイッチとしての需要があると判断した形だ。

 Piezo Tapは、軽いタップ荷重でも高い発生電圧を確保。開発品の評価では、タップ荷重0.3Nで約1.5Vの発生電圧を達成している。デバイスに取り付ける際には、厚みが薄く、粘着性の強い両面テープを使用する。金属やプラスチック、ガラスなどさまざまな材質に取り付けられる。

 想定用途は、冷蔵庫や洗濯機、調理家電などをはじめ、産業機器やスマートグラス、スマートウォッチ、サイクルコンピューターなどを想定する。

 同社は、23年10月に幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催された「CEATEC 2023」にPiezo Tapの7ミリメートル角を参考出品。現在はそれと同等の出力電圧性能を維持しつつ、サイズを5.5ミリメートル角に小型化した製品を開発中で、24年5月頃からのサンプル提供開始、25年前半の量産開始を目指している。

(22日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)