2024.03.22 【九州・山口産業特集】九州計測器 計測器の校正ビジネス伸長 産学連携の新技術も支援
岩倉 社長
半導体関連の動きが活発になっている九州で、計測器商社の九州計測器(福岡市博多区)では、大学・高専、短期大学などの人材育成カリキュラムの中で、実習用の装置などの問い合わせ、納品が増えている。TSMCの関係で熊本などが多いが、他地区の研究機関も動き始めている。
電子計測器の校正ビジネスは金額、件数とにも増え、伸長している。半導体の製造装置なども含め「校正というのは必ず必要」(岩倉弘隆社長)と、今後も伸びを見込んでいる。
計測器自体は直接半導体製造に関わる部分は少ないが、受託解析などで貢献できればと考えている。
同社は産学連携で新技術のビジネス化にも力を入れており、発芽に必要な脂質の有無を瞬時に測定する「充実種子選別装置」や、空間実測データを分かりやすく表現する実環境空間表現ソフトウエア「Space Sight」、中部電力と共同開発したオイルミスト濃度・温湿度計測システム「MieruTIME OILMIST」など、全国区で活躍している。
社会実装が進んできた水素についても早くから取り組み、最近では「FC EXPO」に福岡県水素グリーン成長戦略会議の枠で、四国総合研究所とのコラボレーションで「水素火炎可視化のウェアラブル計測」を出展。人には見えない波長で燃える水素の炎を、カメラを使って色付けし、視認できるようにして現地作業や防災に活用する。水素の検知では東北のプロジェクトにも参加している。
空間可視化のシステムは広がりを見せており、風速などこれまでと異なるセンサーを使った実証も視野に入っている。
計測器商社の強みを生かしたさまざまな分野での研究支援は、「あえていえば研究開発サービス業」(岩倉社長)とする。成功事例は、技術を形にするだけでなく「最初から市場のニーズの開拓と、製品や装置の開発の両方を同時に進めていったからビジネスになった」という。
今後は建設業系の非破壊検査装置の開発を進めている。
熊本大学のパルスパワーの研究室にも同じ研究会に入っていた縁で協力。アニサキスの撃退装置や、コンクリート廃材処理装置などは、同社のホームページで動画を見ることができる。