2024.03.26 【電子部品メーカー/商社 大中華圏拠点特集】日本ケミコン 車載、通信、AI用途などへ拡販

長谷川 董事長

 日本ケミコンは、中華圏の事業体制では、中国統括会社の香港ケミコンを中核に、上海、深圳、香港に販売会社を、無錫、東莞に製造会社を、台湾に製造販売会社を展開している。北京と大連には支店を設けている。

 深圳販社の「貴弥功貿易(深圳有限公司)」(ケミコン深圳)は2008年4月に設立され、深圳市南山区にて従業員総数49人で華南、西部地区、香港地区を中心とした地域のビジネスをカバーしている。同エリアには重点市場でもあるネットワーク、カーエレクトロニクス、新エネルギー、産業機器、家電市場の顧客が数多く操業しており、同法人では、EV(電気自動車)車両用途のオンボードチャージャー(OBC)、インフォテインメント向けやAI(人工知能)サーバー用途のベースボードや電源、通信ネットワーク用途では通信基地局、サーバー用電源への拡販に注力している。

 同社のチップ形のハイブリッドコンデンサーは、車載、通信、AIサーバーなど多岐にわたるアプリケーションで採用されている。これまでの宮城、米沢の2カ所に加え、旺盛な受注への対応およびBCPの観点から23年4月から台湾での生産を開始し、ケミコン深圳では車載用途や通信機器用途などに出荷を開始。フレキシブルな対応により顧客満足度は上がってきている。

 また、通信基地局用途向けでは、チップ形導電性高分子コンデンサーが、直近で短納期受注が入るなど潮目が変わっている。

 24年の売り上げは、現時点では23年と同等の推移を予想しているが、3月に入り中国政府が設備投資と耐久財購入を促進する計画を発表したことを受けて、国務院は、「自動車」「家電」「内装」を三つの柱とした。

 このため、「これまでも重点市場の位置付けだったが、車載市場のさらなる拡大、省エネ関連市場の回復、家電や設備市場のスマート化による拡大需要を期待している」(長谷川直樹董事長)。