2024.03.27 【関西エレクトロニクス産業特集】次世代モビリティーサービス 空飛ぶクルマ開発進む 各種事業や周辺環境を整備
次世代交通の実証も進む(堺市のオンデマンドバスの実証実験)
大阪・関西万博に向けた移動手段の確保への取り組みが進む関西。空飛ぶクルマの実現に向けた事業や周辺環境が整いつつある。また、地域の移動問題など各課題対応したモビリティーの実証実験がスタート。実証は持続的なサービスを前提としたものが多く、社会実装を見据えて取り組んでいる。
大阪・関西万博で移動手段として期待されている空飛ぶクルマの開発も進んでいる。空飛ぶクルマを開発するSkyDrive(スカイドライブ)は6日、製造子会社のSky Worksが、スズキグループの工場を活用し製造を開始したと発表。工場では、まずは大阪・関西万博で飛行を計画している「SKYDRIVE(SD-05型)」を製造。その後、一般に販売する製品を順次製造する。
SD-05は、電動、垂直離着陸といった特徴を備えたコンパクトな航空機。3人乗り(乗客2人とパイロット1人)。最大航続距離は約15キロメートル。
大阪・関西万博では会場内北西部に位置する「モビリティエクスペリエンス」に会場内ポートの準備を進めている。空飛ぶクルマの運航事業者スカイドライブなど4社は、会場内ポートと会場外ポートをつなぐ2地点間運航の実現を目指し準備している状況だ。
同会場のほか、空飛ぶクルマの事業の支援体制も自治体で進む。兵庫県は空飛ぶクルマを活用したビジネス展開を目指す事業者の取組を支援すると発表。25日には「令和6年度神戸市空飛ぶクルマ社会実装促進事業補助金」の公募を開始。補助割合は対象経費の4分の3以内という。
JCOMや堺市、南海電気鉄道、南海バスは昨年10月から今年の1月末まで、泉北ニュータウン地域で「南海オンデマンドバス Supported by J:COM」の実証実験を実施した。システムはJCOMが社内の営業スタッフの送迎で活用した同社のMaaSシステムを活用。関西では堺や北大阪などで活用が進められていた。実験は今回で2回目の実施となったが、利用者は3253人。前回の861人を大きく上回った。
泉北ニュータウン地域は起伏のある地形に加え、高齢化が進むエリア。住民の移動課題の解決に向けた取り組みが求められていた。今回のエリアは光明池駅、栂・美木多駅、泉ケ丘駅の3駅につながるエリアで、前回の2地区29停留所から11地区50停留所に拡大。泉北2号線沿いの商業施設などへの停留所を増設し、運行期間も約2カ月延長した。1乗車の利用料金は300円。