2024.04.01 ペロブスカイト太陽電池で官民連携 マクニカと神奈川県、開発者・宮坂氏率いるベンチャーと

曲げることも可能であるため、さまざまな場所への設置が期待されるペロブスカイト太陽電池

ペロブスカイト太陽電池の開発者・宮坂桐蔭横浜大特任教授(左)と黒岩神奈川県知事(中央)、原マクニカ社長(右)ペロブスカイト太陽電池の開発者・宮坂桐蔭横浜大特任教授(左)と黒岩神奈川県知事(中央)、原マクニカ社長(右)

 マクニカと神奈川県、ペクセル・テクノロジーズ(神奈川県横浜市)の3者が、軽量・柔軟な「ペロブスカイト太陽電池(PSC)」の社会実装に向けた実証実験などに関する協定を締結した。実用化に向け官民の動きが加速している。

 3月29日に締結式を開催した。協定期間は2年で、「脱炭素化促進のためのペロブスカイト太陽電池の社会実装に向けた連携協定」と銘打つ。ペクセルは、PSC開発者の宮坂力桐蔭横浜大学特任教授が代表を務める。

 協定では、ペクセルがPSCの提供、神奈川県が実証場所の調整と提供、マクニカが実証設備の設置を担う。

 締結式に出席した黒岩祐治神奈川県知事は「脱炭素化は自身のキャリアにとって最初から一番重要な問題」と言明。太陽電池の発電効率や価格の課題をPSCが解決する可能性があると評価した。従来のシリコン製に比べて軽く、薄く、さらに曲げられるため、多様な場所に設置できるとし、「どこでも太陽電池」が現実になると期待する。

 マクニカは、PSCと蓄電池を活用したエネルギー管理システムの構築や、PSCのリサイクル方法の検討も担う。ペクセルは2023年からマクニカと環境省の実証事業を開始。横浜港大さん橋の潮風があたる環境で実験を進めている。今後は地面に垂直な向きでも効率よく発電できる特徴を生かし、山地で樹木を伐採しない設置方法を試す考え。

 PSC実用化への動きは加速している。23年には、京都大学発のベンチャー・エネコートテクノロジーズ(京都府久御山町)と日揮、神奈川県の3者が同様の協定を結んだ。積水化学工業は24年3月に物流大手のセンコーグループホールディングスなどと茨城県の物流施設で実証実験に入っている。

(後日電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)