2024.04.05 ISC、再使用型ロケットを開発 米ベンチャーと協業

ISCの畑田社長(左)とUMのロリエンティCEO

 将来宇宙輸送システム(ISC)は4日、米ロケットエンジン開発企業Ursa Major Technologies社(UM)と協業し、再使用型ロケット「ASCA-1(アスカ-ワン)」を開発すると発表した。

 まず、2028年ごろの実用化を目指し、再使用型ロケット開発「ASCA-1プロジェクト」を始動させる。段階的に有人宇宙飛行に挑戦する開発ロードマップを策定した。

 開発ロードマップでは、ASCA-1シリーズでは100キログラム級の人工衛星打ち上げサービスを28年頃までに実現。32年までは有人宇宙輸送(宇宙旅行やP2P輸送)を可能にする高性能化、超軽量化したASCA-2シリーズを開発。40年までに、高頻度・大量・安価な利用が可能な単段式往還型宇宙輸送システム(SSTO)「ASCA-3」の開発を目指す。

 再使用型ロケットの開発に向けて、日米ロケット開発ベンチャー同士が連携する試みは同プロジェクトが日本初となる。

 今回のパートナーシップを通じて、UMが製造販売するロケットエンジン「HADLEY(ハドレー)」を購入。今後は米国国内で飛行実証実験に取り組み、実証を通じて得られたデータの共有を通じたエンジンの改良など、日米ロケット開発ベンチャー同士が連携して宇宙産業をさらに発展させていく方針を示した。

 22年に設立したISCは、宇宙往還を可能とする輸送システムの実現を目指すスタートアップ企業。宇宙往還を可能とする輸送システム実現の第一歩として、再使用型ロケットによる人工衛星打ち上げサービスの提供を目指している。

 畑田康二郎社長は「このチャレンジングな目標の実現のためには、ダイナミックな開発戦略が欠かせない。当社独自の開発プラットフォーム「P4SD」を用い、アジャイル型の開発に挑戦している」と語った。

 UMのジョー・ロリエンティCEOは「今回のパートナーシップによって、日本製の衛星打ち上げロケットが実現することを期待している」と述べた。(8日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)