2024.04.24 家電小売りで広がる物流対策 店舗「直取り」や東西2拠点 ヤマダや上新など

地域家電店も、物流問題への対応について顧客に理解を求めている

上新電機のスワップ輸送とドライバー交代方式のイメージ上新電機のスワップ輸送とドライバー交代方式のイメージ

 物流の「2024年問題」を受け、家電流通を取り巻く環境が大きく変わろうとしている。上新電機といった家電量販店だけでなく、“街の電器店”を加盟店に持つヤマダホールディングス子会社も、ヤマダのリソースを生かした対応に乗り出した。地域家電店を含め、流通の現場では業務の効率化や販売先・顧客への周知を徹底する動きが強まっている。

 上新電機は、物流問題への対策に加え、災害などの緊急事態発生時の安定した商品供給体制をグループ全体で構築。22年には関西茨木物流センター、23年10月には関東地区の物流拠点となる東京物流センターを全面稼働し、東西2拠点体制を整備した。両物流センターを効率的に連携稼働させ、①コンテナを積み替えるスワップ輸送やドライバー交代方式などによる輸送能力低下への対応②納品予約システムや伝票のペーパーレス化などの導入によるドライバー拘束時間の削減(待機時間含む)③EC出荷推進による輸送距離の短縮—に取り組む。

 “街の電器店”が加盟するアトムチェーン本部は、物流問題に対応するため、①長距離運転の廃止②再配達を減らす配慮③まとめ買い(まとめ注文)による運送回数の削減—の方針を示している。

 ヤマダホールディングス(HD)グループのコスモス・ベリーズは、ヤマダデンキ店舗に加盟店が直接取りに行く「直取り」を推進。昨年開始したヤマダウェブコムの即日宅配システムを利用した「ヤマダ宅配」も活用するなど、ヤマダHDの強みを生かして対応していく。

 地域家電店でも、顧客に理解を求める動きが広がりつつある。パナソニックの家電店である住まいるでんき館ダイコク(大阪府高槻市、山川修社長)は、今後、配送体制が変わる可能性があることを想定し、午前中など商談の前倒しが重要になると指摘。パナソニック店のローズ電化(大阪府枚方市、平垣内宏知社長)も、物流問題を説明するなど顧客に理解を促すことが必要と話している。