2024.05.08 ローム、3月期連結は減収減益 今期はSiCデバイスに積極投資

 ロームの2024年3月期連結決算は減収減益。2023年11月に続き2月に通期業績を下方修正した予想に対し経常利益、純利益は円安効果で上振れた。

 松本功社長は「注力している自動車向けはしっかり伸ばせたが、産機、民生、通信、コンピュータ&ストレージ(C&S)向けは非常に厳しかった。自動車売上比率の高い欧州、中国は増収だったが、日本、米州、その他アジアは自動車以外の売り上げ減に引っ張られ減収だった。LSI、半導体素子、モジュール、その他の全セグメントで減収減益。半導体素子もSiCデバイスはしっかり伸びたが、ほかのパワーデバイス、ディスクリートがマイナスだった」と説明した。

 25年3月期通期は「自動車向けは欧州、中国以外が厳しいものの前期比10%強伸びる。C&S向けはほぼフラット、産機、民生、通信向けはマイナスとみている。為替は前期期中レートと同じ1ドル=145円を想定。期末受注残は平時の売り上げの4カ月分ある。手持ち在庫は21年度4Qを適正水準として今期末までに完成品・半製品・材料在庫を大きく落とす。顧客の在庫を十分把握できず、前期には通期業績予想を2回下方修正した。今期は絶対に達成する数字を出した」(松本社長)と増収減益を予想。

 SiCデバイスを中心とした成長戦略に向けた積極投資で減価償却負担が重いが、SiCデバイス30%シェア獲得に向けて勝ち切るために前期の1867億円に続き1650億円の設備投資計画。そのうちの8割強をパワー半導体の8インチウエハー基板、8インチウエハー対応プロセスの生産開始などの増強に充てる。「東芝との半導体事業の業務提携協議を6月に開始したい」(松本社長)と述べた。