2024.05.22 事務機大手決算 円安追い風に増収基調 複合機など在庫調整局面から脱却へ
事務機大手の24年3月期連結業績
事務機大手各社の2024年3月期(23年4月~24年3月)連結決算は、欧米の高インフレ、中国経済の減速などが進む中、力を入れるソフトサービス分野の伸びや円安を追い風に、増収基調を維持した。一方、利益は海外の市況悪化やコスト高を受け、まだら模様だった。25年3月期は増収・営業増益を見込むところが多く、在庫調整の影響を受けていた複合機などの海外市場での回復やソフトサービス分野がけん引する見通しだ。
リコーは、売上高が前期比10.1%増の2桁伸長。営業利益はオフィスサービスが想定通り増益で推移したものの、複合機販売やサーマル事業が海外市場の悪化もあって想定を下回り、21.2%減だった。注力するデジタルサービス分野の営業利益は30.4%増で推移。今期は増収・営業増益を見込む。
大山晃社長は「全社の経営資源を集中し、デジタルサービスの会社への変革を着実に進める。デジタルサービスの会社としてふさわしい収益構造への体質転換に注力する」と強調する。
富士フイルムホールディングスは、メディカルシステム、イメージングがけん引し、売上高、営業利益、当期純利益とも過去最高を更新した。ビジネスソリューションは、DX(デジタルトランスフォーメーション)関連の販売が伸び、前期比6.8%の増収。半面、オフィスソリューションで欧米向け輸出が減少し、全体では減収だった。
後藤禎一社長は、「今期は売上高、営業利益とも過去最高の更新を目指す。バイオCDMOや半導体材料を中心とした成長分野などに、前年を上回る7570億円を投資する」と説明する。
セイコーエプソンは、在庫調整局面の継続に起因するデバイスの需要減少や、中国を中心とした景気停滞に伴う販売減が響き、売上高は前期比微減、営業利益は、英国現地法人の年金バイアウトに向けた関連費用の計上もあり、減益。
小川恭範社長は、「商業・産業インクジェットプリンターの増収や、マイクロデバイスでの下期からの市場回復を織り込んでいる」とし、今期は増収を予想。営業利益は前期比23.4%増を見込む。
コニカミノルタの売上高は、03年のコニカとミノルタの経営統合以来最高で、営業利益、当期利益も黒字化を果たした。大幸利充社長は「事業の選択と集中、財務基盤の強化が進展している」と説明。今期の売上高は、事業譲渡や為替影響などを除いた実質ベースで前期比3%増を計画する。
事業貢献利益は前期比大幅増の400億円。営業利益はグローバル構造改革費用などを織り込み、減益見通し。
12月期が決算のキヤノンの24年第1四半期(1~3月)連結決算は増収・営業減益。成長事業の加速で通期では4期連続の増収・営業増益を目指す。キヤノンマーケティングジャパンのITソリューションは好調で、売上高が前期比9%増、利益も計画を上回った。通期見通しはプリマジェストのグループ入りの影響を反映し、売上高を150億円上方修正した。