2024.06.14 【やさしい業界知識】デジタルカメラ

ミラーレス一眼が主流に

写真だけでなく動画撮影も

 2023年の国内デジタルカメラ市場は、出荷台数は前年比1.9%減の91万1658台と5年連続で前年割れだったが、出荷金額は同3.7%増の626億1615万円と2年連続で前年比増となった(カメラ映像機器工業会)。

 デジタルカメラは大きくレンズ一体型のコンパクトデジタルカメラ、内部のレフレックス(光を反射するミラー)で景色を確認し撮影する一眼レフカメラ、レフをなくし電子式ファインダーで確認し撮影するミラーレス一眼カメラがある。

 タイプ別に市場の動きをみるとレンズ一体型は台数が同14.4%減だったが、金額は同6.6%増と17年以来のプラスとなった。レンズ交換式は台数が同10.2%増、金額が同3.0%増と2年連続で増加。一眼レフは苦戦したがミラーレスが台数で同20.4%増、金額で同6.8%増と好調だった。20年の新型コロナウイルス感染症の拡大時は外出機会がなくカメラの販売が苦戦していたが、23年は観光などが再開したことで回復してきた。

 これまで国内市場は、スマートフォンの普及に伴いコンパクトデジカメの販売が減少してきた。スマホの写真や動画撮影機能が充実していることから、コンパクトデジカメの代わりにスマホを使う人が増えてきたことが背景にある。

 半面、レンズ交換式の一眼カメラは、スマホやコンパクトデジカメで撮影できない高画質撮影ができることから、ステップアップとして購入する人が多い。高画質な撮影を本格的にするには、これまでは一眼レフカメラを使っていたが、最近はミラーレス一眼カメラの人気が高く、主流になりつつある。

持ち運びが簡単

 ミラーレス一眼カメラは、イメージセンサーで認識した画像を電子式ファインダーで表示する。レフレックスも必要ないことから、小型軽量化が実現できる。ミラーレス一眼カメラの登場で、レンズ交換式でありながら簡単に持ち運び高画質撮影ができるようになった。レンズ交換式ならではの〝ボケ〟味を出した撮影や、レンズを交換してさまざまな撮影が楽しめる。

 若い女性層などを中心に火が付いたミラーレス一眼カメラは、パナソニックやソニーをはじめ、キヤノンやニコンといった専業メーカーも参入し製品群は充実している。35㎜フルサイズセンサーを搭載したフルサイズミラーレス一眼カメラも各社が発売しており、ミラーレス一眼でもフルサイズ化が進む。

 販売実績データを調査するGfK Japanによると、ここ数年は10万円以上の中級機の販売が増えている。10万~20万円の価格帯は22年から7ポイント増え、46%となった。中価格帯の増加でレンズ交換式カメラの税別平均価格は前年から4%上昇し17万2000円となっている。

高付加価値化へ

 一眼カメラは、写真撮影だけでなく動画撮影にも使われるようになってきた。高精細4K動画撮影に活用されるほか、超高精細8K撮影ができるカメラもある。主要各社は低価格デジカメの開発を抑え高付加価値化を進めており、手軽に写真や動画撮影するのはスマホという流れはさらに進むとみられている。

(毎週金曜日掲載)